JR西日本は12月12日、博多13時33分発東京行き『のぞみ34号』(N700系16両編成)で12月11日に発生した運行トラブルについての概要を明らかにした。
発表によると、『のぞみ34号』が小倉駅を発車した際、パーサーや客室乗務員から7・8号車付近で「焦げたような臭いがする」という申告があり、車掌が車内点検を実施。さらに岡山駅から確認のため乗り込んだ車両保守担当社員が、13・14号車間で「うなり音」を確認したという。
この時点で、走行には支障がないと判断され運行が継続されたが、京都駅を過ぎたところで車掌が異臭を認めたため、名古屋駅でJR東海名古屋車両所の社員が床下の点検を行なったところ、歯車装置の箱部分に油漏れを認め、名古屋駅から先の運行が打ち切られる事態となった。
調査によると、13号車床下の「台車」と呼ばれる部分において、主電動機(モーター)と歯車装置との間の「継手(つぎて)」の変色や歯車箱への油付着、台車枠の亀裂が確認されたという。
台車は車体を支えているものだが、走行や乗り心地を安定させる役割も果たしており、「主電動機」と呼ばれるモーターをはじめとして、継手、歯車、車軸、軸箱、空気バネといったパーツが複雑に組み込まれている。
N700系の場合、モーターの回転力を、「WN継手」と呼ばれる継手(ユニバーサルジョイントの一種)を通して歯車装置に伝達、歯車の動きにより車軸を回して推進力を得る仕組みになっており、これが高速走行時の要となっている。