駆け抜ける喜びをエクステリアでも感じてもらいたい…BMW i3 改良新型[インタビュー]

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BMW i3
BMW i3 全 16 枚 拡大写真

BMWの電気自動車、BMW『i3』がマイナーチェンジした。これまでグローバルでおよそ9万7000台が販売されたi3について、日本市場のユーザー層や購入動機、そして、今回の変更ポイント等をBMWジャパンでサブブランド“i”の責任者を務めるホルム・リヒター氏に話を聞いた。

◇i3の多くがBMW初のユーザー

---:i3は2013年に欧州で発表、2014年4月に日本で発売されて以降、約4年が経過しました。そこで、日本でBMW i3を購入したユーザーはどういった人たちですか。

リヒター:非常に誇らしいのですが、新規のユーザー、つまりこれまで BMW に乗ったことがないお客様に購入してもらっています。こういった方々は、これまで様々なブランドを検討、購入して来たと思いますが、今回は、BMWのiというサブブランドのユニークな生い立ち、キャラクターが説得材料となり、またそこに共感してもらえたのでしょう。

また、この方たちは幅広い年齢、性別、職業等多岐に渡っていますので、そういったダイバースなところもBMW iブランドを象徴していると思います。

---:なぜそこまで新規ユーザーが魅力を感じたのでしょう。

リヒター:それは意外性です。つまり、BMWは歴史的に見てもエンジン屋ですよね。シルキーシックスと呼ばれる直列6気筒、官能的なサウンド、そういったところから感じさせるスポーティさがあります。

一方EVは真逆にあたります。例えば静かさや、エコ、サスティナブルといったイメージですよね。そういった方向に向かうべく大胆な判断をしてBMW iプロジェクトがはじまり、i3がデビューしました。そこに対する驚きや、また挑戦に対して新規のお客様が共感してくれたのです。

◇駆け抜ける喜びはワンペダルフィーリングでも

---:そういった方たちがi3を購入した動機は何ですか。

リヒター:とても素晴らしいドライビングエクスペリエンスです。特にテストドライブした方々の反応は驚きです。

---:運転する喜び、BMWが提唱する“駆け抜ける喜び”という部分は、これまでのBMWもiブランドも共通する世界観ですが、その点はi3ユーザーにも伝わっているのでしょうか。

リヒター:例えば他のEVと比べた時に、 BMWらしさはEVの中でも表現されています。例えばステアリングフィールや、サスペンションの部分などからです。

一方、既存のBMW ユーザーがi3で駆け抜ける喜びを感じられるかというと、確かに内燃機関のエンジンとは若干表現は違ってくるでしょう。ただし、ワンペダルフィーリングという新しい概念をBMW i3で導入しましたが、これが非常に喜ばれています。それを楽しみにして、 そして他の人たちにも推奨しだしているのです。そういうところで駆け抜ける喜びが浸透して来ていると我々は思っています。

◇エクステリアでスポーティさを演出

---:さて、今回のマイナーチェンジのポイントを教えてください。

リヒター:はい。まずはコネクティビティにおけるナビゲーションのアップデートがあります。そして、インテリアはインテリアデザインパッケージのロッジに新しいトリム、ソラリックブラウンのウール地にナチュラルレザーを組み合わせたシートを導入しました。またエクステリアカラーにはインペリアルブルーとメルボルンレッドを追加しています。

エクステリアデザインで最も大きな変更点はフロントとリアバンパーです。また、横長のLEDインジケーターやLEDヘッドランプを標準装備としました。

さらにルーフエンドにシルバーのトリムが採用されましたので、よりスリークでかつスポーティ感を演出しています。

そのほかにCharge Nowという充電サービスが12か月間無料になったほか、BMW iというビジュアライザーが、iOSにも対応しましたので Apple 製品、特に iPhone 等で実際にクルマを見て、良さを感じてもらい、ぜひ試乗してもらいたいですね。

---:エクステリアでフロントとリアのバンパー変更がありましたがこの目的は何でしょう。

リヒター:これまでBMW i3のバンパーのスモールランプは丸目でしたが横基調に変わり、同時にそれを囲むようにL字型のような形状をバンパーに取り入れています。これによりワイド&ローなイメージを醸し出しています。

BMWのマイナーチェンジではスポーティ系に変わっていく傾向にあります。特にBMW i3をポジショニングする上で、駆け抜ける喜びを走るだけではなく見た目でもより実感してもらえるようなデザインにするために、サイズは変えずに、よりがっしりと見える、エッジの効いたスポーティなデザインに変更されたのです。

---:ユーザーからもっとスポーティなデザインが欲しいという要望はあったのでしょうか。

リヒター: 日本市場からはありませんでしたが、世界的に見るとそういった声はありました。そこで「i3S」というよりスポーティなルックスのクルマを他のマーケットに導入したのです。

このi3Sは残念ながら日本には導入していません。その理由は、現在日本に導入している車両は、日本の立体駐車場に合わせるためにサスペンションを低く設定しているのです。その仕様はi3Sよりも低いことから、既にスポーティな仕様になっていると我々は考えているのです。

エクステリアデザインにおいてもi3Sは格好良いデザインなのですが、日本に導入するには技術的なハードルもあるので、今のところ予定はありません。

また、サイズもi3Sは若干ワイドになってしまいます。そこで、今回のマイナーチェンジでスポーティさが加味されたことを踏まえると、他の国々向けのi3とi3Sとの中間に日本仕様はポジショニングされますので、ちょうどいいところだと考えています。

---:先ほどナビゲーションのアップデート等のお話がありましたが、インテリアモニターのデザイン上の変更はありますか。

リヒター:いいえ。ナビゲーションではコネクティビティ系の機能を強化していますが、外見的な変更はありません。その理由はインテリアを広く見せるために、少し前方にナビゲーションの画面を位置しています。例えばその画面をタッチスクリーンにすると非常に危険ですので、現在のようにセンターコンソール上で操作してもらう方が直感的に操作しやすいと我々は考えています。なのであえて変更はしていません。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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