【ホンダ フリード モデューロX 試乗】フリードが本来追求したかった姿がココに…瀬在仁志

試乗記 国産車
ホンダ フリード モデューロX
ホンダ フリード モデューロX 全 20 枚 拡大写真

ホンダアクセスは、量産モデルと同じ生産ライン上で、カスタマイズパーツを装着するコンプリートモデル『モデューロX』の第4弾として、『フリード モデューロX』をラインナップした。

純正用品メーカーのホンダアクセスが開発したカスタマイズパーツは、モータースポーツなどで培ってきたノウハウが活かされ、優れた質感と高い信頼性が持ち味。高速安定性にこだわるエアロパーツや、ハンドリング性能にも寄与する剛性バランスに優れたアルミホイール、乗り心地と走りの性能を高次元で両立させる専用サスの採用など、その内容は多岐に渡る。

特に専用サスはホンダ車を知り尽くしたエンジニアが日本のニュルブルクリンクと呼ばれる、鷹栖のテストコースで走り込み開発されたもの。フリードは3列シートを実現したコンパクトミニバンとして、使い勝手の良さが魅力だが、モデューロXでは熱いホンダの走りが注入されたことで存在感をアップ。家族のためのクルマでありながら、ドライバーズカーとしての個性も身に付けたことで、幅広いユーザーの希望に応えてくれている。

実車を眺めてみると先にデビューした『ステップワゴン モデューロX』同様にワイド&ローの安定感のあるフロント回りから、ボディ下部全周を覆うエアロパーツは量産ラインならではのフィット感と質感をもつ。インテリアに目を向けてみると専用シート表皮にはモデューロのロゴがデザインされ、インパネ周りの色使いや、9インチの大型センターディスプレイの採用など、上級モデルのような落ち着きを与えてくれている。2列目キャプテンシートの6人乗りでは、クラスを越えた快適空間が演出され、フリードの使い勝手の良さを大いに実感できる。

組み合わされるパワーユニットは他のモデル同様に、1.5リットルガソリンとハイブリッドの2タイプ。これに6名か7名の3列シートを選ぶことができ、2列シートの『フリード+』には残念ながらモデュールXは用意されていない。

実際に試乗してみると、走りへのこだわりはやはり一番に感じられる。ひと言で言えば従来のちょっと緩めの動きが引き締められ無駄な動きが解消されている。ステアリングを切り込んでいった時の反応が良く、背の高さやミニバンとしての重量感を感じにくい。高速に足を延ばしてみると、エアロパーツが功を奏しているのかステアリングの座り感が高くなり、直進安定性が良くなっているのが少なからず理解できる。標準モデルとの直接比較ができていないので、断言はできないが本来ホンダが作りたかった乗り味が実現しているように思う。

ワインディングでは、この流れをさらに実感でき、コーナーでの安定感は高く、操作に対して動きが正確。中でもコーナーの頂点付近で大きな荷重を受け止めたときのしっかり感が高く、不安なくコーナーを抜けられる。もっとも荷重をギュッと受け止める力強さは、普通のドライブでは路面の変化を伝えやすく乗り心地はややかため。タイプRのユーザーに家族が増えてミニバンに乗り換えるとしたら、このしっかり感は自然に受け止められると思う反面、高級感を求めるとやや走り志向が強く感じられるかもしれない。それでも無駄な動きが緩和されることによる、ノイズレベルの低減や走りの良さによるスムースな加速感によって、エンジンノイズの低減など副産物も多く、快適性が阻害されることは無い。

さらにガソリンエンジンンモデルでは、フロント荷重が軽くなり前後の重量バランスが良く感じられ、ハンドリング性能は一段と進化した印象を受けた。ゴツゴツ感はやや感じられるものの、軽い分だけおさまりが早く乗り味はスッキリクリア。走りをさらに求めるならこちらもおすすめだ。CVTとの組み合わせによってHVとはエンジンフィールも異なるが、フリードのコンパクトミニバンならではの使い勝手の良さと軽快さを一層実感することが出来た。

価格的にもガソリン車なら300万円を切り、コンプリートモデルならではの内外装の質感の高さを加味するとお買い得感がある。フリードが本来追求したかった姿が、モデューロXに盛り込まれ、ミニバンへの乗り換えに限らず、ホンダユーザーが使い勝手の良さと走りの両立を求めるなら、ちょうどよい味付け。若いユーザーから家族向けまでお勧めの一台として、選択肢の一つに加えてみると良いだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★☆(4.5)
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

瀬在仁志|モータージャーナリスト
1960年東京生まれ。AJAJ会員。日本COTY委員。高校時代からカート、自動車免許取得後、ラリー、レースに参戦。スーパー耐久自動車レースでは2 クラス、4クラスで優勝経験を持つ。88年にはA型フォードによるオーストラリア・クィーンズランド一周ラリーで3500kmを完走。03年にはニュルブルクリンク24時間レースに参戦、参加クラスで日本車最高位完走。世界20か国以上の公道とサーキットでの試乗経験を持ち、『ホリデーオート』、『モーターマガジン』誌等で活躍。代表会社であるアップライト社主催による走行会はすでに70回を数えドライビング講師としても活躍する。

《瀬在仁志》

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