トヨタ、ネオジム半減のモーター用磁石を開発…電動車の拡大にらむ

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新開発のサンプル磁石
新開発のサンプル磁石 全 2 枚 拡大写真

トヨタ自動車は2月20日、電動車両やロボットなどのモーターに使える新タイプの「ネオジム磁石」を開発したと発表した。資源量が限られるネオジムの使用量を最大で半分に減らしながら磁力や耐熱性能を確保した。

ネオジム磁石は、高出力で高温環境などに使用するモーターに広く使われる高性能磁石。しかし、ネオジムが資源量や生産量が限られるレアアース(希土類元素)であるため、将来は市況の高騰や調達難になるといった懸念がある。

トヨタが開発した新磁石は、ネオジムの使用量を現状より20~50%減らし、代わりに安価で豊富なランタンとセリウムという軽希土類に置き換えるようにした。さらに、現状ではネオジムとともに使われている重希土類のレアメタルであるでディスプロシウムなども使用ゼロとする。ただし、そのままだと磁力や耐熱性能が劣化するため、磁石を構成する粒を微細にして2層構造とするなどの工法により、劣化を防いだ。

モーターに求められる出力性能などによってネオジムの使用量を決めることができ、様々な用途のモーターに対応できるようにした。電動車両のモーターだけでなく、車ではパワーステアリング用など、さらにロボットや家電と用途は広いという。

東京本社で開いた技術説明会で先端材料技術部の庄司哲也グループ長は「今後、電動車を拡大させる当社の構えの一環となる。2020年代前半には電動パワステなどに適用できると見ている。電動車の駆動用には今後10年内での実用化を図りたい」と述べた。また、磁石そのものの生産について、同技術部の加藤晃技範は「トヨタで作ることはなく、専門のメーカーと相談させていただきたい」とし、今後協業相手を探す方針を示した。

ネオジム磁石では、ホンダが大同特殊鋼との共同開発でディスプロシウムなどの重希土類を全く使わないタイプを実用化、2016年秋に発売した『フリード』のHV(ハイブリッド車)用の一部モーターに採用している。

《池原照雄》

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