ジャガー E-PACE は日本車からの乗り換えもターゲット…マーケティング担当[インタビュー]

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ジャガー E-PACE
ジャガー E-PACE 全 24 枚 拡大写真

ジャガー・ランドローバー・ジャパンは新型コンパクト・パフォーマンスSUVのジャガー『E-PACE』を発表した。なぜジャガーは『F-PACE』に続きE-PACEを投入したのか。また、ターゲットユーザーはどう考えているのかについて、マーケティング担当者に話を聞いた。

◇コンパクトサイズを市場が求めていた

---:そもそもジャガーがE-PACEを開発したのはなぜなのでしょう。

ジャガー・ランドローバー・ジャパンマーケティング・広報部プロダクトマネージャーの佐藤健氏(以下敬称略):現在SUV市場は拡大しており、我々のF-PACEも非常に好評です。一方で、日本もそうなのですが、少しボディサイズが大きいという声があるのも事実です。さらに、F-PACEが属するセグメントよりも、もうひとつ下のサイズが他のメーカーからも出てきていますので、我々としてもそこを埋める必要が出てきたのです。そこで、E-PACEをラインナップしました。

---:ジャガーブランドとしては、これまで以上に台数が増えるわけですが、プレミアムブランドとして考えると、台数が増えることに対して懸念も出てくると思いますがいかがでしょう。

佐藤:その通りです。しかし、例えばメルセデスベンツやBMWもプレミアムブランドですが、エントリーモデルにも広げています。その理由のひとつは、そこまで広げるとこのユーザー達は今後、上のクラスの見込み客になるのです。そういったユーザーをきちんと捉えていかないといけないと考えた結果です。

---:具体的にいうと、若い層を獲得していきたいということでしょうか。

佐藤:はい。

---:若い人たちがジャガーに乗り始めると、現在ジャガーに乗っている人達が抵抗するようにも思えますが。

佐藤:そういったことを危惧する面もありますが、 実際にメルセデスやBMWも同じ悩みを5年から10年前にあったと思います。しかし、現状を見るとそこは全く影響していないようですので、基本的には心配する必要はないでしょう。

◇スポーティでありながら荷物もきちんと積める

---:E-PACEを日本市場に導入するにあたりどういった戦略を考えたのでしょう。

佐藤:現在ジャガーの取り組みの中で、大きな課題のひとつは、特に日本のお客様の場合、ジャガーは自分の対象ブランドではないと思っている人が多いことが挙げられます。良いクルマだとは認識されており、プレミアムだということも知られているのですが、自分の購入する対象ブランドではないと思っている人が多いことです。

そこを変えていくのにこのE-PACEはベストチョイスだと考えています。さらにジャガーはプレミアムなセダンブランドではなく、あくまでもスポーツカーブランドとして訴求していますので、E-PACEはF-PACEの弟ではなく、Fタイプから派生したクルマと位置付けています。E-PACEはまさにスポーツカーであり、その商品のサイズやポジショニング、お客様の需要を埋めるという点でも日本にぴったりあてはまるクルマです。

---:Fタイプの派生という意味を込めて、デザインモチーフを持ってきているそうですね。

佐藤:デザイントップのイアン・カラムも明確にいっているのですが、例えばヘッドライトのデザインや、フロントグリルなどFタイプのラインやイメージをE-PACEに移植してデザインしています。

---:日本でもこのセグメントは競合がひしめき合っています。そこでの勝算はどういったところでしょう。

佐藤:走りも重視したSUV系が競合となりますが、スポーティなところや、SUVとしてきちんと荷物が積めるというポイントは間違いなく勝っているでしょう。また女性にウケる魅力的なデザインだと思いますので、そこはきちんとアピールしていきたいですね。

ユーザーも我々のジャガーのラインナップの中では最も女性比率が高くなるでしょうし、高めていきたいと考えています。

◇新規ユーザーがメイン、日本車からの乗り換えも視野

---:これまでのお話を伺うと、その多くが新規ユーザーを狙っていることがわかります。そこで、どういったクルマやセグメントからの乗り換えを期待していますか。

佐藤:8割ぐらいは他メーカーからの流入を考えています。おそらく幅広い年代を狙えるでしょうし、比較的若い人達ではドイツのSUVなどの輸入車にお乗りで、ドイツ車以外のクルマにも乗ってみたいと思っている人たちです。

一方比較的高い年齢層では、ミニバンからの卒業生が多くいますので、そこも狙えるでしょう。子供と一緒に乗らなくなったので、少し個性的なクルマに乗りたいという人達にもぴったりですので、日本車からの乗り換えも期待しています。

また最近、40代後半から50代のユーザーからよく聞く話なのですが、その年代に来ると自分のクルマとしてあと何台買えるのかということを考え始めるそうです。そして、最後には輸入車に乗りたいという層が間違いなく多くいます。そのあたりの人たちには輸入車のエントリーとしてあてはまるでしょう。

ジャガーのカタログを開いてもらうと最初に、“ジャガーは数値やデータで人生を評価しない”という1文があります。ドイツ車はどちらかというとロジックで、理詰めです。確かにそこは良いところですが、我々はそことは違う、もっとエモーショナルで、デザインを主流にしたところで違いを出せると考えています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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