気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2018年3月14日付
●森友文書、他にも削除、近畿財務局、15年、土地賃料巡り(読売・1面)
●トヨタベア1300円超え、ホンダは1700円、前年上回る(読売・2面)
●VW、16カ所でEV生産、22年までに3カ所から大幅増産(読売・7面)
●笹子事故全員不起訴へ、前社長ら過失問えず(毎日・31面)
●EV開発米に追いつけ、スバル中村知美専務執行役員(東京・6面)
●車1台当たり今期営業益、SUBARU首位維持、スズキ健闘、10万円水準に(日経・19面)
ひとくちコメント
きょう(3月14日)は、2018年の春闘で、主要企業が基本給を底上げするベースアップ(ベア)や一時金、待遇改善などについての一斉回答日。きょうの各紙にも労使交渉の“速報”が伝えられているが、前日まで土壇場の交渉が続いていたトヨタ自動車も、ベアを前年の1300円を超える水準で行うことで事実上決着したという。
トヨタはベアの金額を公表していないが、定期昇給や各種手当の拡充などを含めると、賃上げ率は3.33%相当になり、「官製春闘」ともいわれ、安倍政権が経営側に求める「3%賃上げ」は、どうにかクリアする。ちなみに、トヨタ労組は今春闘で、3000円のベアと定期昇給(定昇)を合わせた月額1万0300円の賃上げを要求していた。
毎日などによると、トヨタはベアと定昇のほか、60歳以上の再雇用者のうち賃金水準が高い職種の人数増、生産現場への夜勤手当の導入、期間従業員への家族手当導入、総合職の自己研さん費用の補助などを実施するという。
きょうの各紙には「トヨタ異例の長期『決着』」(読売)、「トヨタ賃上げ政権意識。労組『評価難しい』」(朝日)、「トヨタベア1300円超方針、ボーナス要求通り6.6か月分」(毎日)などのタイトルで掲載。トヨタがベアを非公表としたのは「自動車業界を中心に、トヨタのベア回答を参考にして、トヨタより少ない水準に収める企業が多いことから、各社の労使だけで決めてもらう流れを広げるため」としている。
そんな中、自動車業界では、日産自動車は前年実績を上回るベア1500円超え、一時金は5.8%の満額回答。ホンダがベアに相当する賃金改善について、組合側の3000円要求に対し、月1700円とすることで決着。ベア実施は5年連続で前年の妥結実績を100円ほど上回る。年間一時金は6.2か月分とし、組合の要求に満額回答するという。
ホンダの経営陣は一過性とはいえ、米国の“トランプ減税効果”で得られる純利益1兆円の恩恵を従業員に「百円玉」1個のお裾分けで報いることになる。