ビジネスジェットを利用した移動が、国内でも本格化する。全日空ホールディングスと双日は28日、ビジネスジェットを活用した合弁会社「ANAビジネスジェット株式会社」の設立を発表した。
2017年に世界最大の出荷数を記録したホンダジェットを中心に、利用人数、移動距離に応じた機材を選び、全日空品質の“エアタクシー”サービスを提供する。
ANA HDの片野坂真哉社長は、合弁会社設立の目的をこう語った。
「提供するサービスは大きく2つある。1つはANA国際線からの乗継チャーター便。北米や欧州に到着した後に、ビジネスジェットに利用して効果的に移動する。もう1つは、日本から海外の目的地まで飛ぶ直行便のチャーター手配。移動時間の大幅な短縮が可能になり、機内での時間を有効活用できる。お客様の時間的価値の最大化を目指す」
2003年からビジネスジェット事業を手掛ける双日はその運航ノウハウを活かして、主に同子会社の米「Phenix Jet」による日本出発の直行便を担う。
「ビジネスジェット事業だけでなく、機体販売、運航、整備体制の構築など一貫したサービスを提供。1万時間以上のチャーター販売の実績がある。アジアのビジネスジェット市場のパイオニアとして市場を構築してきた。そうした当社が手掛けることで、快適で安心できるサービスを提供できる」
ANAビジネスジェット法人設立は、今年夏を予定。当初は北米での乗継便、日本発直行便の手配を中心にし、18年下期を目途に欧州への展開を目指す。さらに、19年にはホノルル乗継便を展開。ビジネスジェットで島々を回るアイランドホッピングなど観光向けも手掛ける。ビジネスジェットの手配を行い、機材の運航は双日ほかジェット機の運航会社に任せる。
この合弁事業とは別に、ANA HDはホンダエアクラフトカンパニー(HACI)と、戦略的パートナーシップを締結した。藤野道格社長は言う。
「北米欧州のハブ空港から最終目的地までをホンダジェットでダイレクトにつなぐ。北米欧州への地方都市への移動効率が劇的に向上する。新しい空の旅は、きっと多くのお客様の機体に応える」
この提携でANA HDはHACIが持つディーラー網を利用したビジネスジェット・オペレーターなどのノウハウや、ホンダジェットの優先活用を確保する。HACIはANAビジネスジェットで広がるビジネスジェット市場で、機体のさらなる需要拡大を目指す。