EV向け主機モータ世界市場、2025年には2080万個に拡大 矢野経済調べ

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日産リーフ(参考画像)
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矢野経済研究所は、車載モータの世界市場の調査を実施、その結果を「車載モータ市場の最新動向と将来展望 2018」にまとめた。

調査は国内外の自動車システムメーカ、モータメーカ等を対象に、2017年11月~2018年3月の期間、同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリングならびに文献調査を併用して行った。

調査結果によると、2016年の車載モータ世界市場は約29億9900万個(車両生産台数ベース)と約30億個規模に到達した。市場が拡大を続ける背景には世界規模で厳格化している環境規制が影響。自動車メーカ各社では今まで以上に燃費改善技術の開発が求められている。また、安全性や利便性向上を目的とした高機能化でも、機械式で稼動させていたシステムを電動化することが予想され、パワートレイン、シャシなど各領域で車載モータの搭載数増加の追い風になっている。

今回の調査では、車載モータをパワートレイン、シャシ、ボディ、次世代自動車システムという4つの領域に分類。パワーウィンドウやパワーシート、ダンパモータ等のボディ領域が全体の73.6%を占める。一方、主機モータや電動コンプレッサ、各種電動ポンプ等、次世代自動車システム領域は1%にも満たないが、今後次世代自動車の普及に伴い増加が見込まれ、2025年には全体の2.0%を占めると予測する。

次世代自動車の主機モータは、小型軽量化、低コストに加え、優れたEV(電気自動車)航続距離を実現する広い動作範囲での高効率化が必要。航続距離の延長はEV普及のキーとなるため、モータの高効率化は喫緊の課題となっている。しかし、走行条件、混雑具合など様々な状況下で駆動する主機モータは、家電や産業用など他のモータと比較して動作領域が広く、広範での高効率実現が重要となる。

主機モータは、基本的には次世代自動車の普及と連動する。しかし価格動向は、モータの出力や特性、冷却方法の違いによっても大きな開きがあり推計は困難。また、PHEV(プラグインハイブリッド車)やEV用はHEV(ハイブリッド車)用と比べ耐久性や信頼度で高いレベルが要求されるため、より高価な価格帯となる。主機モータの価格は永久磁石の市況とも連動するため、大幅な価格下落は見込みにくいが、次世代自動車の普及による量産化によって、緩やかな価格下落が見込まれる。

現状は2モータ方式のHEVが市場の大部分を占めるが、今後はEVの普及や欧州でのPHEV等の需要拡大によって、1モータ方式の普及が拡大することが予測され、需要数では車両台数の成長率を上回ることはないと想定。2016年に約428万個だった主機モータの世界市場は、2020年には970万個、2025年には2080万個まで市場が拡大すると予測する。

近年では欧米の自動車メーカが2020~2025年にかけてEV、PHEVのラインアップを拡充させる戦略を公表しているほか、中国では原油の輸入依存低減や環境問題への対策として、新エネルギー車(EV、PHEV)の生産・販売を促進する政策を打ち出している。今後も次世代自動車の普及は全世界的な流れとして拡大していくと考えられ、2020年頃を目処に本格的な成長期を迎えると予測する。また、次世代自動車の普及動向に加えて内燃機関車でも高級車を中心に安全性や利便快適性を目的とした高機能化が進むことで車載モータの世界市場は拡大していくことが予測される。

《纐纈敏也@DAYS》

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