【マツダ CX-5 2.2リットルディーゼル 試乗】実用域でのドライバビリティとパワー感が向上…片岡英明

試乗記 国産車
マツダ CX-5 2.2リットルディーゼル
マツダ CX-5 2.2リットルディーゼル 全 26 枚 拡大写真

マツダを代表するクロスオーバーSUVの『CX-5』は、2016年12月に初のモデルチェンジを行った。2代目も好調に販売を伸ばしているが、2018年2月に初めて商品改良を行っている。

まだ、登場から1年ちょっとだから、エクステリアの変更はない。また、インテリアも、事故時にロック機構を自動解除する機能を盛り込んだ車速感応式パワードアロックや全席ワンタッチ式パワーウインドウ(Lパッケージ)の採用など、CX-5のユーザーでないと分からないくらい小さな変更だ。最小の装備追加だから発表された直後に買った人も胸をなでおろしたことだろう。

ただし、ライバルに遅れを取っていた360度ビューモニターが『CX-8』に続いて採用されたのは朗報である。操作性は今一歩だが、進化したナビシステムと同様に、使い慣れると手放せない。もうひとつ、リアのパワーリフトゲートがガソリンエンジン搭載のプロアクティブグレードにもオプション設定された。これもうれしい改良のひとつだ。

エンジンは3機種を設定している。2.2リットルの直列4気筒DOHCディーゼルターボは、兄貴分のCX-8と同じエンジンへと進化した。燃料の緻密な多段噴射を実現する超高応答マルチホールピエゾインジェクターや可変ジオメトリーターボ、冷却水制御バルブなど、きめ細かい改良を行い、初期モデルより最高出力は15psアップの190ps(140kW)/4500rpmとなっている。最大トルクも30Nm(3.1kg-m)上乗せの450Nm(45.9kg-m)/2000rpmに増強された。トランスミッションは6速ATを継承している。

大きく向上したのは、実用域のパフォーマンスだ。マイナーチェンジ前のCX-5より車両重量はちょっと増えているが、そのハンディをものともしない気持ちいい加速を見せつけている。応答レスポンスは今までより鋭いし、パンチが足りなかった2000回転より下のゾーンのトルクも厚みを増した。最大トルクはガソリンエンジンの4.5リットルクラスと同等だから、信号からの出だしは力強い。アクセルを少しだけ開く、ダラッとした登り坂も軽やかに走り抜けられるようになっている。低回転域で意のままにスピード調整しやすいなど、より扱いやすくなっていたのが嬉しい。

ナチュナルサウンドスムーサーやナチュナルサウンド周波数コントロールなどの採用と相まって静粛性も向上した。アイドリングストップ機構の洗練度は今一歩だが、最新作は違和感がなくなりつつある。さすがに始動した直後などは、外で聞くとディーゼルエンジン特有のガラガラ音が耳につく。が、他メーカーのディーゼルと比べると静粛性は高い。さすがにガソリンエンジン搭載車と比べると振動も大きいが、それも上手に抑えている。

スムースさにも磨きがかけられた印象だ。パワーとトルクの立ち上がりが早いし、CX-8より150kg以上軽いから気持ちよい加速を見せ、追い越し加速も力強い。アクセルを大きく開けたときのパワー感とトルク感はあまり変わっていない印象だ。が、5000回転までストレスなく回る。また、実用域のトルクが分厚いから、多人数乗車でも物足りなさを感じることはなかった。ディーゼルターボと相性のいい6速ATも滑らかさに変速する。これで全車にパドルシフトが装備されれば言うことなしだ。

サスペンションやステアリング系は今までと同じで、変更点はない。ハンドリングはCX-8よりも軽快で、軽やかな身のこなしを見せつけた。座のいいパワーステアリングは、Gベクタリングコントロールの採用もあり、気持ちよく向きが変わる。適度に重めの操舵フィールで、狙ったラインに乗せやすい。一体感のあるロール感や優れた接地感がCX-5の魅力で、スムースなコーナリングを見せてくれる。リアはやや引き締まった乗り心地だが、後席でも不快な突き上げに悩まされることはない。荒れた路面でも足はしなやかに動く。実用域でのドライバビリティとパワー感を向上させた新型CX-5のディーゼルターボは、これからが旬の上質なクロスオーバーSUVである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性: ★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク: ★★★★
おすすめ度:★★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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