JR北海道は5月10日、2017年度の決算を発表した。営業利益、経常利益ともにJR北海道単体、グループ連結で2年続けて過去最大の赤字となったが、特別損益を加味した当期純利益では損失額が減少している。
JR北海道単体では、営業収益が前年度より3億円増の897億円となった。このうち、鉄道運輸収入は前年度並の728億円となったが、北海道新幹線の運輸収入は2割以上落ち込んだ79億円となり、100億円を切っている。
一方、営業費用は、修繕費や除雪費などが増加したことに伴ない、30億円増の1422億円となり、前年度より27億円多い525億円の営業損失を計上した。
これらに経営安定基金の運用益などを含む営業外損益の325億円を差し引くと、JR北海道単体の経常損失は199億円となり、過去最大の赤字となった前年度より10億円増加した。
ただし、2017年度は台風被害による復旧費など、巨額の臨時損失がなかったことから、特別損益が26億円増えた。これを加味すると、当期純利益での損失額は前年度より16億円減の109億円となっている。
JR北海道グループの連結決算では、ホテル業や不動産賃貸業が好調だったことから、営業収益は12億円増の1737億円となった。こちらも鉄道事業の営業損失が足を引っ張り、営業損失・経常損失ともに、1999年度以降に連結決算を開始して以来、過去最大になったが、当期純利益での損失額は73億円となり、前年度に比べると半分近く圧縮されている。
JR北海道の島田修社長は、決算に関する社長談話で「平成28年8月に発生した台風被害による大幅な減収から回復したことに加え、インバウンドや空港アクセス等札幌圏のご利用が増加したことなどから、前年度並みの収入を確保することができました」と述べたものの、それでも2年続けて過去最大の赤字になったことに対し「大変厳しい結果となりました」としている。
2018年度に向けては「グループをあげて最大限努力して資金を確保するとともに、31年度までの国の支援を有効に活用し、安全の基盤を着実に整備してきています」とした上で、「『当社単独では維持することが困難な線区』について持続可能な交通体系の構築に向けて課題解決を図るほか、経営基盤の強化に向けてグループ一体となって収入の確保に取り組みます」という姿勢を示した。
なお、2018年度の通期業績予想では、JR北海道単体では、営業収益を3億円増の901億円、営業損失を30億円減の495億円、経常損失を10億円減の189億円と見込んでいるが、連結では経常損失の増加を見込んでいる。