11年目の挑戦としてニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦するSTI。そのチームメカニックとして、今年も全国のSUBARU(スバル)販売店から選抜された6名のメカニックがチームに参加している。
スバルはこれまで、ニュル24レースをはじめサファリラリーやWRC(世界ラリー選手権)にも選抜された販売店のメカニックを送り込んできた歴史を持つ。そこにはどんな狙いがあるのだろうか。
「メカニック派遣の選考は自由応募ではありません。スバルが認定した資格を持っているメカニックのなかから、プロジェクトに適合した人をディーラーから推薦していただき、その中から選考します」と、スバル カスタマーサービス本部の横大路良氏は説明する。
スバルのメカニック制度には階級があり、各店舗のチーフメカニッククラスが対象となるのだという。そこから選ばれた6人が、メカニックとしてSTIやSUBARUの熟練メカニックに交じってニュルに挑戦するのだ。
「彼らに一番期待することは、まず協調性」と横大路氏は続ける。「レースは普段とは違う環境です。一緒に仕事をするのは、いつも顔を合わせているメンバーでもありません。そこでメカニックの腕やリーダーシップに加え、仕事を進めていくための協調性を磨いてほしいと考えています」。
もうひとつの意味は、極限のレースを経験したことで大きな自信がつくことだ。「自分が作業した車が活躍し、クラス優勝だって実現するかもしれない。それによる精神的な成長はとても大きいでしょう」(横大路氏)。それらの経験を踏まえて、職場のまわりのメカニック、そして周囲の販売店スタッフに経験を伝えることで多くの刺激を与えられる。彼らのモチベーションが上がると同時に、周囲も変えていくのだ。
チーム総監督の辰巳英治氏も「ディーラーメカニックはすごく優秀。毎年毎年新しい人が来る。みんな選ばれてきているという自覚があるから一生懸命だし、初めてという緊張感はいい刺激を生む」と彼らにエールを送る。