近鉄がフリーゲージトレインを開発へ…京都-吉野方面の直通を視野に

鉄道 企業動向
2014年に登場したフリーゲージトレインの最新試験車両FGT9001~9004。
2014年に登場したフリーゲージトレインの最新試験車両FGT9001~9004。 全 1 枚 拡大写真

近畿日本鉄道(近鉄)は5月15日、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の実用化へ向けた開発を行なうことを明らかにした。

フリーゲージトレインは、軌間(線路の幅)が異なる区間を直通させるため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)の主導で開発している車両で、車輪の左右幅を、軌間に合わせて自動的に変換する仕組みを持っている。

近鉄では、軌間が異なる路線を吸収して成立している経緯があることから、特急の運行系統によっては乗換えが必要となるケースがある。

それが、軌間1435mmの京都線(京都~大和西大寺間34.6km)・橿原線(大和西大寺~橿原神宮前間23.8km)と軌間1067mmの吉野線(橿原神宮前~吉野間25.2km)で、大阪方面からは1067mmの南大阪線を経由して吉野まで直通する特急が運行されているが、京都方面からの場合は、橿原神宮前駅で乗換えが必要となっている。

近鉄では、かねてから京都方面から吉野線への直通を実現するべく、軌間の統一や三線軌条化などを模索してきたが、フリーゲージトレインによる直通が実現すれば、近鉄の特急ネットワークにおいて、全路線で直通が可能になるだけに「お客さま利便の向上、ひいては当社のネットワークの価値向上につながります」として、京都線・橿原線~吉野線の直通を視野に、フリーゲージトレインの開発を進めていくことになった。

開発に際しては、6月22日付けで近鉄の総合研究所にフリーゲージトレイン開発推進担当役員を就任させ、その後は、国土交通省と相談の上、他の鉄道事業者や車両メーカーとともに、実用化へ向けた検討を進めていくという。

フリーゲージトレインは、軌間1435mmの新幹線と軌間1067mmの在来線の直通を念頭に、1998年から2014年にかけて3次に渡る試験車が登場し、2022年度中の暫定開業が予定されている九州新幹線西九州ルート(博多~武雄温泉~長崎間)などへの導入を視野に試験走行を行なってきた。

2016年に実施された走行試験では、改良を加えた3次試験車の台車に車軸の摩耗が確認され、所管の国土交通省は翌年、西九州ルート暫定開業へ向けた導入は間に合わないという見解を示している。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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