京都では20km四方がすべて満車に…akippa 金谷元気 代表取締役社長[インタビュー]

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akippa 代表取締役社長 CEO 金谷元気氏
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駐車場シェアアプリの「akippa」が急成長している。利用ユーザー数が今年中に100万人を超える見通しだという。利用者をそこまで惹きつける理由とは何か。akippa 代表取締役社長CEOの金谷元気氏に聞いた。



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駐車場を予約する意味


---:akippaのサービスの特徴や、利用者のメリットについて教えてください。

金谷氏:akippaは、空いている月極め駐車場やマンションの駐車場、コインパーキングなどを、一日単位、あるいは15分単位で予約して借りることができるサービスです。

駐車料金は、クレジット決済もしくはキャリア決済でお支払いいただき、そのうちの半分を駐車場のオーナー様にお渡しする仕組みです。登録そのものは、駐車場オーナー様・利用者様も完全無料で、利用に応じて収入もしくはお支払いがある形です。

利用する際のメリットとしては、料金が安いこともありますが、やはり駐車場を予約できるところが大きなメリットです。特にコンサートやJリーグ、野球の試合の時は、コインパーキングが争奪戦になるのです。

---:私も花火を見に行く時に検索したことがあります。

金谷氏:コインパーキングだと、早めに行っても実際に止められるかどうかは分かりませんが、akippaで予約していけば、プレイボール5分前でも問題なく停めることができます。あとはキャッシュレスであることですね。スマートフォンで決済をして、現地ではおサイフを出さずに済みます。

---:いま登録されている駐車場はどれくらいあるのでしょうか。

金谷氏:現在のところ2万拠点です。ちなみに大手のコインパーキング企業様が1万9千拠点ですので、規模感がお判りいただけると思います。ただ、毎日2万拠点稼働しているわけではなく、土日だけ貸し出しているところもたくさんありますので、稼働している拠点数で言うと、デイリーで約3分の1程度になります。

一方で駐車場を利用するユーザー側は、ここ最近口コミで徐々に広がっておりまして、現在およそ70万人なのですが、去年だけでおよそ40万人増えております。このペースで行くと、今年中に100万人以上になると見ております。

京都は20km四方が満車


---:駐車場を貸し出したい人と、使いたい人、どちらが多いのでしょうか。

金谷氏:駐車場を使いたい人のほうが多いです。akippaではキャンセル待ちができるのですが、多いところだと、ある駐車場に1000人のキャンセル待ちということがありました。コンサートの会場近くの駐車場ですね。

---:そうすると利用者としては、基本電車で行くつもりだけど、もし停められれば使いたいという事でしょうか。

金谷氏:そうですね。それから別のケースですが、京都の春と秋のシーズンは、普通の駐車場でもその状態で、去年は20キロ四方すべて満車になったことがありました。

---:20キロ四方とは、相当な広さですね。

金谷氏:はい。京都の主要エリアを全部カバーするほどの広さでしたね。

---:そのような特別な地域ではなくとも、基本的は需要過多なのでしょうか。

金谷氏:はい、需要過多が続いております。今は貸し出せる駐車場がとにかく必要な状況で、駐車場を増やせば増やすほど売り上げが伸びていくという傾向なのです。

貸し手は法人が9割


---:やはり駐車場は都心に偏っているのですか。

金谷氏:いえ、あまり偏ってはいません。政令指定都市の都心部と、その周辺地域で半々ですね。

---:駐車場オーナーは、個人の法人の割合はどれくらいでしょうか。

金谷氏:法人が9割になります。

---:そんなに法人が多いんですね。会社が休みの週末に、使っていない駐車場を貸し出すようなケースですか。

金谷氏: そういうケースもありますし、平日のみ、お昼・夜間のみなど、いろいろなパターンがあります。あるいは、マンションの駐車場を貸し出すケースもあります。

---:なるほど、入居者が使わなくなった駐車場を貸し出すのですね。

金谷氏:マンションの管理会社様と提携することが多いですね。これまでマンションも駐車場も管理されてきたなかで、月極駐車場の空き問題がある場合に、akippaで貸し出して収益化する、という形です。



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需要に応じた値付け


---:駐車場オーナーの具体的な事例をご紹介いただけますか。

金谷氏:それまで月極1万円で貸していた駐車場をakippaで貸し出したところ、月5-6万円の収益が上がったという事例がありました。akippaはダイナミックプライシングを導入しているので、スタジアム、球場、空港、駅、新幹線の駅の周りにある駐車場は、需要に応じて料金が上がります。そのため、普段は月極1万円のところでも、一時的な需要に対応することで収益が上がるのです。

---:その料金はシステムが自動的に設定するのでしょうか。

金谷氏:今後システム化する予定ですが、今のところは当社のプライシングチームが手動で設定しています。

---:では、駐車場オーナーは料金設定を御社に任せているということですか。

金谷氏:はい、ご自身で設定されるか、akippaに任せるかを選ぶことができるのですが、ほとんどはこちらにお任せいただいております。

---:料金の上限はあるのでしょうか。法的な制限はありますか。

金谷氏:法的な制限はありませんが、上限については、法外な料金にならないようにしています。法的にはひとつだけ、転貸には気をつける必要があります。転貸とは、例えば月極で駐車場を借りている方が、オーナーに無断でakippaに登録して貸し出すようなケースです。転貸は民法に触れますので。

ただそれ以外には法的な規制は厳しくないため、事業としては外的要因が少なく、やりやすいですね。

目立たない駐車場の看板


---:法人の成功事例はどのようなものでしょうか。

金谷氏:はい、都心の一等地の新しいオフィスビルで、駐車場の看板をあまり大きく出していないところがあり、駐車場の入口も裏側にあって目立たず、ビルを使う人以外はあまり使われなくて、駐車場の空きが80台ほどあるケースがありました。そこでakippaで貸し出したところ、利用者が増えたという事例です。

ビルとしては、ビルのテナントに加入していただくことが最優先ですので、そこに大きな駐車場の看板は、デザイン的に出しにくいという事情がありました。

駐車場を持つ強み


---:akippaは今後どのような方向に成長していくのでしょうか。

金谷氏:まず2020年までに、駐車場予約アプリとして(登録駐車場)10万拠点という目標を設定しています。会社としてはその時にIPO(新規上場)も視野に入れておりますので、それもあっての目標設定です。

---:5月に発表されたシェアゲートのような、事業領域の拡大という意味ではいかがでしょうか。

金谷氏:akippaにカーシェアリングの機能を組み合わせることを考えています。akippaのアプリを開くと、駐車場予約とカーシェアの予約が一度にでき、一括決済ができるような形です。今年中に、他社との提携を含めてサービス開始したいと考えています。

---:御社の顧客データベースと決済の仕組みをプラットフォームとして、他のシェアリングビジネスと提携していくということでしょうか。

金谷氏: そうです。顧客データベースも、現在は軽自動車・コンパクトカーといった車両の大きさを持っていますが、他のサービスに展開しやすいよう属性を増やしていくことを検討しています。

駐車場の在庫を持っていること、顧客のデータベースを持つこと。この強みを基にモビリティ企業を目指していきます。



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《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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