窒素で消すモリタ、消化剤の備蓄は不要…東京国際消防防災展2018[詳細画像]

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モリタの窒素富化空気(NEA)システム搭載車 Miracle N7(東京国際消防防災展2018)
モリタの窒素富化空気(NEA)システム搭載車 Miracle N7(東京国際消防防災展2018) 全 8 枚 拡大写真

酸素がなければ燃えない---。災害現場において空気から酸素を除去し、窒素濃度を高めた気体(窒素富化空気)を作り、消火薬剤として連続的に放出できる消火設備が「窒素富化空気(NEA)システム=Nitrogen Enriched Air Systemだ。

モリタは多様化する火災現場、災害現場において、消火・救助活動に素早く対応できるよう消防自動車10台を開発、東京国際消防防災展2018に出展した。その1台、『MiracleN7』はNEAシステムを搭載した車両だ。

施設内に不活性ガスである窒素を備蓄し、配管から送気する消火設備はすでにある。東日本大震災の教訓からモリタは、既設消防設備の損傷時のバックアップとして、場所を選ばず使用できる防災技術の研究を2012年から開始し、空気と動力があれば、消火薬剤や水利は必要がないNEAシステムを開発、2014年に第1号車を日本原燃(青森県六ヶ所村)に納入した。


Miracle N7は、フィルタユニット、分離膜(ポリイミド製の中空糸)ユニット、送気ユニットから構成されている。展示車両はコンプレッサーも車両に一体化されており、機動力に優れる。

Miracle N7の送気は窒素濃度85%だ。通常の空気は窒素78%、酸素21%、その他1%で組成されていおり、窒素が83%以上(酸素16%以下)になると火がつかなくなり、85%を上回る(酸素が14%を下回る)とほとんどの可燃物が消える。いっぽう労働基準法では酸素の下限濃度が18%と定められており、16%以下になると人の体調に異変が生じる。行動の自由を失うのは10%以下、死亡に至る恐れは6%以下だ。

Miracle N7の窒素富化空気濃度はコントロールできるので、短時間では人体にほとんど影響がなく、燃焼はできない酸素濃度12.5%+窒素濃度86.5%を維持し、石油備蓄基地や、水損被害が危惧される博物館、美術館、重要文化財、データセンターなどの消火で利活用も可能だ。


東京国際消防防災展は、過去の災害を教訓とした各種災害リスクを周知し、都民等の防火防災意識及び行動力を向上させるとともに、住民・企業・行政による三者相互の連携強化並びに関連技術・産業の振興を促進することを目的とする(東京消防庁村上研一消防総監)。主催は東京消防庁、東京ビッグサイト、東京国際消防防災展2018実行委員会。5月31日から6月3日まで、東京臨海都心の東京ビッグサイトで開催。

《高木啓》

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