スバル フォレスター 新型発表…冒険に向かう背中をひと押し

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スバル・フォレスター新型発表
スバル・フォレスター新型発表 全 8 枚 拡大写真

SUBARU(スバル)は20日、ニューヨークモーターショー2018でワールドプレミアをした新型『フォレスター』を日本でも発表した。フルモデルチェンジの開発コンセプトは“快適”と“冒険”だという

◇スバルの屋台骨

フォレスターの歴史は、21年前の1997年に始まる。当時は『レガシィ』もターボ全盛で、フォレスターも当初はターボモデルのみの販売だった。インディアナポリスで24時間のSUV世界最高速度の記録を樹立したことでも知られている。

デザインでの変化点は2007年にデビューした3台目で、「それまでのワゴン的なエッセンスが強かったものから、よりSUVらしいスタイルへと変化。それ以降そのイメージを強くし今回5代目が誕生した」と説明するのは、同社広報部長の岡田貴浩氏だ。

フォレスターはグローバルで年間約30万台弱を販売。現在スバルは年間100万台規模なので約1/3くらいをフォレスターが担っており、大きな柱となる1台といえるだろう。

日本では2015年と2016年で、およそ2万2000台、2万4000台と月販2000台ほどを販売している車種だ。年間12万台をキープしようというスバルでは、月1万台のうちの20%を担う車種になっている。

岡田氏は、「今年は各メーカーから様々な車種が登場するようだ。それにより市場全体が広がって、月販2000台のフォレスターが、もっともっと多くのお客様に購入してもらえると嬉しい」と期待を語った。

◇情緒的価値を加える

5代目フォレスターの商品コンセプトは“世代を超えて元気で若々しく活動的な気持ちを駆り立てるクルマ”とし、「現在フォレスターが評価されている“信頼”部分はそのままに、2つの情緒的な価値を加えた」とは、同社商品企画本部プロダクトゼネラルマネージャー布目智之氏の弁。この信頼部分とは、「どこにでも行ける、どんな場所でも使える信頼出来るクルマ」だという。

情緒的価値のひとつは“快適、Comfort for Loved Ones”だ。「ドライバーだけでなく、同乗者にも同じような快適さをきちんと感じてもらいたいと課題として掲げた」。もうひとつは“冒険、Stir of Adventure”だ。「冒険に出かけたいという気持ちを後押し出来るようなクルマにしたい」と布目氏。この2つのコンセプト・価値に対して、「パッケージングやデザイン、装備などの改良を加えた」と述べる。

この情緒的価値を考えるにあたっては多くのSUVユーザーに話しを聞いたという。その結果、「走行性能やタフな機能、デザインなどから、冒険心の後押ししてくれるような開発にしたい」。そしてもうひとつは、「快適で、気持ちよく移動出来る空間が、家族や大事な友人と過ごす時間を躍動的に楽しく過ごしてもらえる。そういったクルマにしたいと考えるに至った。そこでこの2つの価値を従来の信頼という価値に加え開発を始めた」という。

◇サイズ拡大は全て快適空間のために

こういった価値を具体化するためのパッケージングについて布目氏は、「ホイールベースを30mm長くし、前席と後席のスペースを広げた。特に後席の足元スペースをしっかりとることで、同乗者にも快適だと感じてもらいたい」と話す。

また幅は、「乗員を20mm離すことで、前席の人達にも従来以上の快適さを感じてもらえる空間にした。また、高さについては現行車の評価で十分だとされたので、外寸では5mm下げたが内寸は不変とした」と説明。そして、「快適に過ごす空間は大事だが、外寸はコンパクトでキビキビ走る方が良いので、外寸は極力小さく開発している」と述べる。

このパッケージングをもとに、「現行フォレスターの視界性能の高い評価を維持しながら、さらに広く感じてもらえる寸法を採用した」と説明。

◇冒険に向かうためのラゲッジルーム作り

今回の開発では荷室についても注力された。「アウトドアをする、冒険に向かう時にしっかりと荷物を積んで出かけたくなるような荷室作にこだわった」と布目氏。その開口部は、「SUVの中でも非常に大きく、アウトドアで使うテーブルやベンチ、ゴルフバッグなどがそのまま横向きで入る」という。最大開口部の幅は現行の1166mmから1300mmへと広げられた。

また荷物をルーフに積みやすいようにルーフレールにタイダウンホール付きを採用。かつ、リアドアのサイドシルに大型のステップを配することによってルーフへのアプローチをしやすくしている。さらに、リアドアは大きな開度を持たせ、後席への乗降性も向上させると同時に、ルーフへのアプローチを自然な姿勢で出来るようにしている。

またパワーリアゲートを新開発。従来のものは、「開閉速度が少し遅くて待っていられないという声がたくさんあったことから、よりスムーズに開閉出来るようにした」という。テールゲート開閉スイッチとともに、ドアロック連動スイッチも同じ位置に装備し利便性も向上させた。

さらに、「荷室そのものはシャワーライト化しているが、リアゲートを開けた時に連動で点灯する作業灯のようなものをリアゲートの中に内蔵(一部グレード)し、足元の安全確保などに有効に使ってもらえる機能を配した」と述べた。

◇新プラットフォームで快適性向上

新型フォレスターは、スバルグローバルプラットフォームを採用。布目氏によると、「これによって車体そのものの剛性が非常に上がった」という。そのメリットは、「サスペンションの動きをしっかりとしたボディで受け止められること。その結果、サスペンションを“素直な設定”にすることが出来た」と話す。

具体的には、「これまではサスペンションと車体とつながる部分のねじれを抑えるために、車体とサスの間を固いものでつなぐようにしていたが、今回は車体剛性向上により、ソフトなものが使えるようになった。その結果フラットなライド感がきちんと出た上に、乗り心地も両立出来た」と説明。また、「周波数帯ごとのフロアの上下振動を計測すると、現行や他銘柄のSUVよりも非常に振動が少ないクルマに仕上がっていた」と実測値でも証明されていることを強調した。

◇モダンキュービックフォルム

デザインにおいても、「乗る人全てを快適にという観点で、快適な空間が作れるようにデザインした」と布目氏。「コンソールやドアトリムなど人の触れる場所はふくよかなゆとりを感じる造形や素材を使うことで安心感を表現。そこにSUVらしい逞しさを示すテクスチャーや、センターのシフト周りや両サイドのダクト周りの3点を結ぶ空間の中で、しっかりと広い空間認識をしてもらいたいとアイキャッチになるものを加えた」という。

また、「SUVらしい冒険心を掻き立てる頼もしさをエクステリアデザインで表現。立骨感のある逞しいデザインが出来た」と述べる。同時に、「SUVとしてリフトアップされた表現や、内寸は最大寸法、外寸は最小にするために、キュービックフォルムに近くした。それをいかにモダンに見せるかという工夫を加え、モダンキュービックフォルムと呼ぶデザインで表現している」と話す。

◇顔認証システムを搭載

装備では、安全装備を充実。そのメインにドライバーモニタリングシステムが挙げられる。これはアイサイトと連動しながら、脇見や居眠りをした時に警報を与えるシステムだ。基本的には顔認証で、「携帯などとほぼほぼ同じもので、1台のクルマで最大5人分の顔認証が可能だ。それにより居眠りや脇見を判断すると同時に、誰がこのクルマを運転しているかを認識するので、その人のシートポジションやドアミラー、空調、マルチファンクションディスプレイなどを自動設定することが出来る」と説明した。

◇Xモードを使いやすく

フォレスターのAWDシステム、“Xモード”は、「お客様から、意味もわかる、スイッチもわかる、しかしどういう路面の時にこのスイッチをどう使ったらいいのかがなかなか理解出来ないという声があった」という。例えば、「ぬかるんだ路面では、Xモードスイッチを入れVDCスイッチは切らなければいけないのだが、そういったことがお客様にはわかり難い。さらには過去使ったことがないというお客様もいた」。そこで、新型では2モードにして、ひとつはスリッピーな路面に対してのスノー・ダートモード。もうひとつは、タイヤが埋まってしまうような雪やぬかるみのディープスノー・マッドモードとし、「機能を選択するのではなく、路面を見て選択をしてもらえるよう、わかりやすい設定にした」。さらにマルチファンクションディスプレイにどのモードが選択されているかも表示されるようになったという。

布目氏は、「現行車のしっかりとした信頼がおける機能をベースに冒険に向けてひと押しする装備や、乗ってもらった時の快適性に工夫を加えたのが新型フォレスターだ」とまとめた。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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