矢野経済研究所は、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転用キーデバイス・コンポーネントの世界市場の調査を実施、その結果を「ADAS/自動運転用キーデバイス・コンポーネント2018」にまとめた。
調査は国内外の自動車メーカ、カーエレクトロニクスメーカ、半導体メーカ、センサメーカ等を対象に、2017年8月~2018年5月の期間、同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリングならびに文献調査を併用して行った。
調査結果によると、2017年におけるADAS/自動運転用センサの世界市場規模は8959憶1800万円に達しており、拡大基調が続いている。日米欧において2016年から2017年にかけてAEB(自動緊急ブレーキ)の標準搭載が進んでおり、日欧のNCAP(新車アセスメントプログラム)に対応するために車両だけでなく、歩行者保護のためのAEBの採用も増加傾向にある。このため、車両前方を検知する77GHzミリ波レーダ、センシングカメラの出荷数量が拡大しており、2017年におけるレーダの世界市場規模は3969憶800万円、カメラは4458憶6000万円だった。また、駐車支援、誤発進防止システムなどで必要となる超音波センサの世界市場規模は2017年で506憶1600万円、レーザ/LiDARについては低コストの赤外線レーザが中心で25憶3400万円だった。
2020年に向けてAEBなどのADAS装着率は日米欧で上昇し、前方検知で必要となるレーダとカメラの標準化が進むと予測。また、各国NCAPでは運転支援系評価項目の多様化が進み、特にユーロNCAPでは後退時AEB(歩行者)、交差点AEB(四輪車、二輪車、歩行者、自転車)の評価項目が追加され、ステアリングの自動操舵による衝突回避も2021年以降に計画されている。このため、フロント検知用77GHzミリ波レーダ、センシングカメラの高性能・多機能化が進む。日本では高齢者ドライバーなどによるアクセルとブレーキの踏み間違い事故が多発。このため超音波センサによるAEBの標準化が進むとみている。
これらのことから、2020年におけるADAS/自動運転用センサの世界市場規模は2017年比86.3%増の1兆6688億1000万円と予測。センサ別の内訳はレーダが同93.8%増の7692憶8500万円、カメラが同82.4%増の8132憶8000万円、超音波センサが同65.6%増の838憶500万円、レーザ/LiDARが同3.7%減の24億4000万円を予測する。
2021年以降については、高速道路上におけるレベル2の自動運転機能の採用が日米欧の主要自動車メーカを中心に進み、車両一台当たりのセンサ搭載個数が増加するために、2025年の世界市場規模は2017年実績比で約3.3倍増の2兆9958億5500万円を予測する。
2025年以降はレベル3(条件付き自動運転)の高級車、MaaS(Mobility as a Service)向け商用車の市場も本格的に立ち上がるためにLiDARの需要も拡大し、2030年のADAS/自動運転用センサの世界市場規模は2017年実績比で約3.6倍増の3兆2755億2700万円に達すると予測する。