「労働安全衛生展2018」では、道路工事で働く作業員に強い味方となるものが展示されていた。ミライト(本社・東京都江東区)の車両飛び込まれ警告システム「ドレミ」がそれで、作業員の人身事故を防止するものだ。
「これまで車に道路工事を行っていることを警告するものはあったが、そこで働く作業員に警告を発するものは見当たらなかった。そこで作業員の安全を図るためにこの機械を開発した」とミライト関係者は話す。
同社は通信インフラやモバイルネットワーク事業を展開する会社で、その中で培ってきた技術を元に「ドレミ」を開発したという。24GHz帯ドップラー式アイレーダーシステムで、作業員や交通誘導員に音と光で警告を発する。
工事現場から設定距離(20・30・40・50m)の地点で設置速度(10・50・60・70km/h)以上で近づいてくる車両を検知。スピード計測の仕組みはスピードガンと同じで、もし該当する車両があると、直ちに青色のパトライトが点滅し、ブザー音で周囲に警告を出す。
しかし、実際に工事している場所がドレミの設置場所から離れているケースもある。その場合は、無線通信の子機を作業員の近くに置くことができる。「無線式ドレミについては、これから販売を開始する予定で、現在高速道路で実証実験を行っている」と同社関係者。
価格はドレミ本体が80万円で、リースも行っており、リース料は月額1万3000円となっている。今年4月に販売を開始したばかりで、まだ知名度が低く、それほど多くは売れていないそうだ。
同社では別のアプローチも実験中とのことだ。それはITS工事現場情報配信システム「MITS」で、ITSを利用して走行中のドライバーへ工事現場の位置と工事現場までの距離を知らせるシステムだ。これによってドライバーはITS対応のカーナビでその情報を確認できる。工事現場の位置が事前に確認できるため、ドライバーは迂回することもできるわけだ。
「今後はコネクティッドカーと双方向通信のやりとりをできるようにしていきたい」と同社関係者は話し、道路の工事現場での人身事故をなくすためにさまざまな取り組みをしていく計画だ。
労働安全衛生展2018は18~20日、東京ビッグサイトで開催。主催は日本能率協会。