パナソニックは7月31日、2018年度第1四半期(4~6月)の決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比7.7%増の2兆87億円、営業利益は同19.1%増の999億円、当期純利益は17.6%増の573億円だった。
「前年度に続き、増収増益基調が続いている。オードモーティブ、エナジーの成長が、エアコン、AVCの販売苦戦をカバーして大きく増収となった。営業利益と純利益は、車載電池の立ち上げ費用や原材料高騰の影響があったものの、堅調に推移するプロセスオートメーションやインダストリアルに加え、土地売却益などの一時益も寄与して増益になった」と取締役常務執行役員の梅田博和CFOは説明する。
確かに車載関連は好調のようだ。オートモーティブ事業は同17.6%増の2433億円で、車載電池が属すエナジー事業は同21.4%増の1545億円と売上高はともに二ケタ増。しかし、営業利益を見ると、オートモーティブ事業が同8.6%増の76億円に対し、エナジー事業は84億円の営業赤字。つまり、車載事業全体では営業赤字になるわけだ。
梅田CFOによると、そのほとんどがテスラ関連とのこと。まさしくテスラがパナソニックの足を引っ張っている格好なのだ。しかし、梅田CFOは楽観的だ。というのも、7月に入って『モデル3』の生産が目標の週産5000台にようやく達成したからだ。
「これまではクルマをつくれるのかという課題があったが、いまは電池を納入すればすべて搭載される。いかに電池の生産ラインを立ち上げていくかということが課題になる。第2四半期は新ライン立ち上げのために投資をしなければならないが、下期からは増収だけでなく、利益の部分にも貢献してくる」と梅田CFO。
また、サプライヤーに対するテスラの値下げ要求について、「他社のことについては分からないが、当社に対しては少なくとも値下げ要求はなかった」(梅田CFO)そうだ。
このように“テスラリスク”は後退した感もあるが、2018年度通期の業績見通しは売上高8兆3000億円(前期比4.0%増)、営業利益4250億円(同11.7%増)、当期純利益2500億円(同5.9%増)と据え置いている。テスラ向けビジネスにはまだ何が起こるか分からないということなのかもしれない。