【アルファロメオ ステルヴィオ 試乗】遠心力は?なんだこの、SUVらしからぬ挙動は…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
アルファロメオ ステルヴィオ
アルファロメオ ステルヴィオ 全 8 枚 拡大写真

アルファロメオらしい艶のあるラインで構成された、横幅1905mmのふくよかなボディである。横幅のボリューム感に一瞬、腰がひけそうになるけれど、全長は4690mmなので、運転しやすいサイズといえる。

運転席に座ってあちこち触って感じるのは、ゆるさである。ハンドルを回したときの感触。シートの座り心地。ブレーキを踏んだときのタッチ感など、ほどよいゆるさがあって、昨今の理詰めできっちり作られた機械と比べると、肩の力が抜けた余裕みたいなものがそこかしこにある。イタリアっぽいなあと、主語をイタリアにすると大きすぎるのだけれど、でも、イタリア車に期待するのは、きっとこんないい意味でのヤワさなんだと思う。

このクルマも最近の流行よろしく、ドライブモードがついているのだが、そのセレクトはスイッチではなくカチカチと回すダイヤル方式。ゆえに、エンジンをいちど切ってもデフォルトにもどることなく、Dのダイナミックに入れておけば、ずっとこのまま走れることになる。このDがすごい。Nのナチュラルに対して、どきゅーん!とトルクもりもりで加速してくれる。このメリハリ。さすが、「スポーツ」ではなく「ダイナミック」と名づけただけのことはある。

その加速よりも、度肝を抜くのがコーナリングだ。この背の高さ、大きなボディでありながら、コーナーでほとんどロールしないのだ。なんで、どうして? 遠心力はどこへいったの? 速度を上げてコーナーに突っ込み、ハンドルをぐぐっと切り込んでいっても、クルマは水平を保ったまま。ドライバーの頭部は外側に引っ張られることも、上体がよれることもなく、まだまだ行けまっせとばかりに、ぐいぐいコーナーをクリアしていくのである。なんだこの、SUVらしからぬ挙動は。

名前の『ステルヴィオ』は、スイスとの国境近くにある峠の名前。日光のイロハ坂みたいなヘアピンカーブが延々と続き、ガードレールではなく道路わきには石が並べられ、ところどころはその石もなくて、油断したらすぐに、がけ下に転がり落ちるような峠道である。だけど、この峠の名前がつけられたこのクルマなら、腹筋がよじれることなく最後まで走り抜けられるんだろうな。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 一気に200馬力以上のパワーアップ!? アウディのスーパーワゴン『RS4アバント』後継モデルは電動化で進化する
  2. トヨタ『クラウンセダン』は違う---水素を使う理由と苦労をチーフエンジニアが語る
  3. シトロエン C3エアクロス 新型、間もなくデビューへ…ティザー
  4. 日産『キャシュカイ』改良新型、表情を大胆チェンジ…欧州発表
  5. 女性向けキャンピングカー「Nomad Lux」デビュー 5月3日初公開
  6. ピアッジオが創立140周年、記念してペスパの特別仕様を発売---140台限定
  7. 春爛漫の新潟に名車が集結…20世紀ミーティング2024春季「クラシックカー&バイクの集い」
  8. トヨタ プリウス、13万台をリコール…走行中にドアが開くおそれ
  9. トヨタ堤工場、2週間生産停止の真相、『プリウス』後席ドア不具合で13万台超リコール[新聞ウォッチ]
  10. レクサス最小の『LBX』は、「サイズ的ヒエラルキー」から脱却できたのか?
ランキングをもっと見る