国がJRへのフリーゲージトレイン導入を事実上断念…技術開発は軌間が異なる在来線を想定して継続

鉄道 行政
2014年に登場したフリーゲージトレインの最新試験車両FGT9001~9004。フリーゲージトレインは、九州新幹線西九州ルートに続き、北陸新幹線への導入も事実上断念されたものの、軌間が異なる在来線を想定して、技術開発が継続されることになった。
2014年に登場したフリーゲージトレインの最新試験車両FGT9001~9004。フリーゲージトレインは、九州新幹線西九州ルートに続き、北陸新幹線への導入も事実上断念されたものの、軌間が異なる在来線を想定して、技術開発が継続されることになった。 全 1 枚 拡大写真

石井啓一国土交通大臣は8月28日に開かれた大臣会見で、北陸新幹線へのフリーゲージトレイン導入は難しいという見解を明らかにした。

フリーゲージトレインは、新幹線の標準軌(1435mm)と在来線の狭軌(1067mm)を直通可能にするべく、国が総額500億円をかけて開発した軌間可変電車だが、8月27日に開催された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの会合において、九州新幹線(西九州ルート)検討委員会の山本幸三委員長から「九州新幹線西九州ルートにおけるフリーゲージトレインの導入は断念せざるを得ない」という報告がなされたという。

これを受けて、北陸新幹線の全線開業時に長野~新大阪間の営業主体となるJR西日本の意向を確認した結果、「新大阪までの北陸新幹線全線開業までの暫定的かつ短期間のフリーゲージトレインへの投資判断は選択し得ないこと等から、北陸新幹線にフリーゲージトレインを導入することはできない」という回答があったことも報告された。

国土交通省は2012年、北陸新幹線敦賀~新大阪間を新線ではなく、フリーゲージトレインによる湖西線への直通で運行する案を示していたが、JR西日本からの回答を受けて「北陸新幹線への導入は難しい」という見解に至った。これにより、JR線におけるフリーゲージトレインの導入は事実上断念された形になった。

会見では、これまで投入された予算が無駄になってしまうことに対する国の責任を問う声もあったが、それに対して石井大臣は「様々な線区にも活用可能な技術であると認識しております」と述べ、近畿日本鉄道(近鉄)が京都線と吉野線の直通運行にフリーゲージトレインの導入を検討している点を挙げ、「軌間の異なる在来線の間の直通運転を想定して技術開発を続けてまいりたい」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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