【INDYCAR 第16戦】佐藤琢磨が今季初優勝、昨季インディ500以来のキャリア3勝目…「多くのファンの前で勝利できて最高」

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
今季初優勝を飾った#30 佐藤琢磨。
今季初優勝を飾った#30 佐藤琢磨。 全 10 枚 拡大写真

インディカー・シリーズ第16戦の決勝レースが現地2日、米オレゴン州ポートランドで行なわれ、佐藤琢磨が今季初優勝を飾った。昨年5月のインディ500以来となるシリーズ通算3勝目は、20番手発進からの大逆転勝利であった。

最終戦のひとつ前となる今季第16戦、開催地はロードコースの「ポートランド・インターナショナル・レースウェイ」。当地での北米最高峰オーブンホイール戦開催は久々で、シリーズ参戦9年目の佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)も初レースになる。ポールポジションは前戦ウイナーのウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)が獲得し、琢磨は予選20位と厳しい位置からの決勝スタートに。

決勝レース(105周)はスタートから波乱含みに進んでいく。いきなり多重アクシデントが発生してフルコースイエローコーション、これは1台のマシンが裏返しの状態になるなどヒヤリとするものだった(ドライバーには大きな負傷なし)。そしてこの混乱のなかには目下ポイントリーダーのスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)も巻き込まれて停止したが、彼のマシンは奇跡的にも致命傷は負っておらず、再走してレース続行を果たしている。

フルコースコーションによる全車隊列スロー走行からのリスタート後には、ポール発進だった#12 パワーがマシントラブルらしき状況で失速、大幅にポジションを落とすなど、この日のレース展開はなかなか落ち着き切らない様相だ。フルコースコーションも2度目、3度目と発生していく状況下、スタート直後のフルコースコーション時に給油を行なうなどしつつ“実質的なピット回数”を大半のライバルより1回減らす作戦を企図していた#30 琢磨にとっては、次第にそれがうまく機能し始める。

レースほぼ折り返し時期の3度目のフルコースコーション時、この時点の上位陣主軸の面々がピットへ。ここでコースに残った#30 琢磨は2番手に浮上する。残りのピット回数はほぼ皆が1回という状況で揃ったなかでの2番手、完全に展開を味方につけた。彼のマシンが今回、予選より決勝向きの仕上がり傾向にあったことも浮上に貢献したのだろう。

そして71周終了時、前走車のピットインで#30 琢磨はこのレース初めて首位に立つ。75周目頃にスローダウン車両が発生、4度目のフルコースコーションが出されるのを見込んだかのように、ここで#30 琢磨を含む多くのマシンが最終のピットストップへ。コースにとどまったマシンがいたため、#30 琢磨は2番手に下がる格好となるが、フルコースコーションを挟んだリスタート後、85周目を終えるところで前走車がピットイン、再び#30 琢磨は先頭に出る。

そして終盤、追ってくるライアン・ハンターレイ(#28 Andretti Autosport/ホンダ)との僅差の攻防をしのぎ切って優勝した琢磨は、2位ハンターレイ、3位セバスチャン・ブルデー(#18 Dale Coyne Racing with Vasser-Sullivan/ホンダ)とともに表彰台に上がった。

優勝した佐藤琢磨のコメント
「今日のレースではフルコースコーションが味方になってくれましたね。ただその前に、我々が決勝に用意したマシンに競争力のあるスピードが備わっていたというのも事実です」

「予選は失敗に終わりましたが、そのおかげでレース用に新品のソフトタイヤ2セットを残すことができましたし、(実質)2度のピットストップで走る作戦を選んだのも正解で、それが完全に(うまく)はまってトップに立ち、最後はライアン・ハンターレイとのバトルを楽しんで、彼にアタックのチャンスをほぼ与えることなくゴールまで走り切ることができました」

「このような勝利を、(当地久々の開催に)これだけたくさん集まってくれたファンの前で飾ることができるなんて、今日は最高の一日になりました」

琢磨は今季初優勝。2年続きのチーム移籍で、いろいろとやらねばならないことが多いなか、今季は全体傾向としては徐々に、着実にパフォーマンスアップしてきた印象のシーズンに思える。そして最終戦ひとつ前のレースで、ついに頂点に到達した。シリーズ通算では2013年のロングビーチ戦、昨年の第101回インディ500に続く3勝目となった。

一方、ドライバーズチャンピオン争いは最終戦を前に実質ほぼ2名の争いに絞られている。3年ぶり5度目の戴冠を目指す#9 ディクソン、そして初王座を狙うアレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)がその候補者だ(他2名にも数字的な可能性は残っているが、インディカーのポイントシステムからは現実味が薄い)。

#9 ディクソンは自身ドタバタ続きのポートランド戦だったが、最終的に5位で終える彼特有の勝負強さを見せ、今季得点を598とした。#27 ロッシは琢磨とは逆に展開に泣かされた面もあって今回8位、得点は569。トップ2が29点差で迎えることになった最終戦は“ダブルポイント”で優勝は100点、他にポール得点等のボーナスもあるが、追う#27 ロッシがフルマークした場合でも、逃げる#9 ディクソンは決勝2位(80点)に入れば自力でチャンピオンを確定できる(以上、手元計算)。

チャンピオン争いの結末が注目されるのと同時に、佐藤琢磨には初の年間2勝、そして初の連勝の期待がかかる最終戦(第17戦)は2週後、現地16日決勝の日程で、カリフォルニア州のロードコース「ソノマ・レースウェイ」で開催される。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 多胡運輸が破産、首都高のローリー火災事故で損害賠償32億円
  2. ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
  3. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
  4. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  5. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  6. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  7. ホンダ『ヴェゼル』マイナーチェンジで3グレードに集約、納期改善へ…「HuNT」「PLaY」新設定で個性強調
  8. メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
  9. MINIに新種『エースマン』登場、航続406kmのEV…北京モーターショー2024
  10. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
ランキングをもっと見る