アジット社長、謝礼型のモビリティサービスで「日本の交通課題を解決していきたい」

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Azitの吉兼周優社長(右)と須藤信一朗取締役
Azitの吉兼周優社長(右)と須藤信一朗取締役 全 3 枚 拡大写真

●慶応大学在学中に設立

配車サービスのAzit(アジット)は9月13日、東京・東新橋の本社で謝礼型のモビリティプラットフォームサービス「CREW」についての説明会を行った。その中で吉兼周優社長は「都市部と地方部双方で日本の交通課題を解決するサービスとつくっていきたい」と述べた。

同社は吉兼社長が慶応大学在学中に設立した会社で、2015年3月からCREWというサービスを展開している。これはスマートフォンの専用アプリを使って、移動したい人と自家用車の乗客を乗せたい人をリアルタイムにマッチングするサービスだ。

移動したい人はまずアプリを起動し、現在位置と目的地、人数などを入力する。すると画面に近くにいる乗客を乗せたいドライバーが表示され、その中から一人のドライバーを選ぶと、そのドライバーがやってくるという仕組みだ。

●有償運送にはならない、ゼロから1万円まで

しかし、日本では自家用車に人を乗せて有償で運ぶことは「白タク」として禁止されている。それに対してCREWは、乗った後に乗客がドライバーに任意で謝礼を払う形になっている。そのため国土交通省は、自発的に謝礼の趣旨で金銭等が支払われた場合は有償運送とはみなさず、道路運送法における登録や許可を必要としないという通達を出している。

「本当に謝礼の金額については千差万別で、ゼロから1万円までいろいろな方がいます」とは同社関係者の弁だが、乗客はガソリン代や高速道路料金などの実費と、アジットへの手数料として1回当たり20円と乗車時間1分当たり20円を払う必要がある。決済はあらかじめ登録してあるクレジットカードを行う。

●与論島で実証実験

「現在、全国各地から問い合わせが増えています。特にローカルエリアからのものが多いです。そこで、この8月には鹿児島県の与論島で実証実験を行いました」と吉兼社長。与論島は毎年観光客が1万人増加して7万人ほどになったが、タクシーはたったの8台で、どうやって移動の手段を確保するかが問題となっていたのだ。

結果は台風などの影響もあって、ライド数28件、利用者数70人と、それほど利用数は多くなかったが、評判はドライバー、乗客とも上々だったという。地元の観光協会からは「旅館の者が空港まで観光客を迎えに行って負荷がかかっているので、それをCREWでなんとかしてほしい」との声もあったそうだ。

「現在、航空会社、キャリア、セキュリティ会社などを含めて、各領域の事業会社と連携をスタートさせていている。今後は、個社でやっていくというよりは、いろいろな事業会社と組みながら日本のオリジナリティのあるモビリティの未来をつくっていきたい」と吉兼社長は話す。

特に地方では、公共の交通機関も少なく、病院や買い物に行くのに困っている高齢者も多い。そういう人たちにとって、アジットのCREWは一つの解決策になるのは間違いないが、そのためには、高齢者にも簡単にサービスを利用できるようにしていくことが、カギを握りそうだ。

《山田清志》

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