【ハーレー FXDR114 試乗】脱・既存路線!見せてもらおうか、その性能とやらを…青木タカオ

ハーレーダビッドソン FXDR114
ハーレーダビッドソン FXDR114全 22 枚

ハーレーダビッドソンジャパンは2019年モデルとして新登場した『FXDR114』の展示をおこなうイベント「FREE[ER] WEEKEND」を、全国各地で週末を中心に開催している。

10月13日~14日は代官山T-SITE内ガーデンギャラリー(東京都渋谷区)にて、Azumi、高岩 遼、Rei、Kan Sano(acoustic set)、The ManRayらによるライブイベントが開かれるほか、13日7時00分~10時00分には、週末の朝に愛車と一緒に参加するミーティングイベント「モーニングクルーズ」もおこなわれる。これはハーレーダビッドソン各モデルのオーナーが『FXDR114』を囲んで語り合うというイベントだ。

そこでだんだんと気にくるのが、『FXDR114』とはそんなにスゴイのかってこと。既存のユーザーが集まって語り合うとは、いったいどういうことなのか……!? それを突きとめるべく、アメリカ・ミルウォーキーにて一足先に乗ってみることができた。

本場アメリカでも大注目!

ハーレーダビッドソン FXDR114ハーレーダビッドソン FXDR114
ミルウォーキーはハーレーダビッドソンが1903年の創業以来本社を構える地で、アメリカ第3位の大都市シカゴからおよそ150km、ミシガン湖に面したウイスコンシン州最大の町。5年ごとにハーレーの創業祝賀イベントが街をあげて開催されていて、訪れたのもこのタイミングだった。イベントの公式会場ではハーレーの最新モデルたちが飾られているが、そこにも『FXDR114』の姿はあり、バイクファンらから熱視線を浴びていた。

まず車体が低くて長い。ホイールベースは1735mmもあり、ラインナップ中でもっと長い。そして、これまでハーレーと聞いてイメージする、クロームパーツや派手なデコレーションはどこにも見当たらない。誇らしげに貼られてきたエンブレムさえ、付いていないではないか。

ハーレーだと主張していないものの、他の何にも似ていなくて、やっぱりハーレーだと確信するが、ハンドルはクリップオン式のセパレート式で、ソロシートには短くスポーティなシートカウルが組み合わされている。フロントフォークは倒立式、リアサスペンションはモノショック、スイングアームはアルミ製の高剛性軽量タイプでアルミ鍛造キャストホイールにはラジアルタイヤを履く。なるほど、たしかに従来のハーレーとは違う。

ええぃ! ハーレーの新型は化け物か!!

ハーレーダビッドソン FXDR114ハーレーダビッドソン FXDR114
乗ってみて思うのは、身のこなしが軽いってこと。どっしりとして、もっと重厚だったハンドリングは拍子抜けするほど軽やかで、街乗りも思うがままにスイスイいく。高速クルージングでこそ真骨頂を発揮するのがグランドツアラーであるハーレーであったが、『FXDR114』はストリートでも扱いやすく、気軽に乗れる。

なにが面白いのかというか、その加速感だ。エンジンは114キュービックインチ=1868ccもの排気量を持つ空冷Vツインで、極低回転域からトルクが図太い。市街地走行は2000回転前後で容易くこなし、最大トルク160Nmを発揮する3500回転まで回すと、もはや怒濤のダッシュとなってしまう。

ハーレーダビッドソン FXDR114ハーレーダビッドソン FXDR114
セレブレーションイベントではさまざまな公式プログラムがあり、ドラッグレースも観戦できた。クォーターマイル=約400メートルの直線で1対1の勝負をし、先にゴールした方が勝ちという単純明快でいかにもアメリカ的なモータースポーツだが、じつは奥深い。ボンヤリ眺めていると『FXDR114』も登場し、ブッチギリの直線加速を見せてくれた。

これはハーレーダビッドソンによるデモライドで、エンジンのチューンナップなどは一切していないフルノーマルとのこと。ハーレーはドラッグレースの全米選手権で活躍するが、そのレーシングテクノロジーが『FXDR114』にはフィードバックされているのだ。

たしかに実際に乗ってみても直進安定性が高く、強力なエンジンによる猛ダッシュを繰り返してもしっかりと安定し、車体は落ち着いている。フロントフォークを34度にまで寝かせてセットし、ロングホイールベースであることに加えて、車体の剛性も充分にある。足まわりも強化されているから、ハイスピードで大きな段差を乗り越えて衝撃をまともに食らっても、前後サスペンションが吸収し何事もなかったかのように走り続けられる。

ハーレーなのにコーナーもスムーズ

ハーレーダビッドソン FXDR114ハーレーダビッドソン FXDR114
意外だったのは、カーブにさしかかったときに車体がスンナリと寝ていき、旋回をはじめたことだ。これだけ車体が長かったら、普通なら曲がるのに苦労する。少し前のハーレーならオーバーステアが出て、コーナーは苦手と思い知らされた。広大な大陸で生まれ、ノビノビと育まれてきたクルーザーであるのだから、それもまた良しと納得してきたのがハーレーオーナーだった。

しかしリアサスをモノショックにし、スイングアームもホイールも軽量高剛性。運動性能に直結するバネ下の重量や剛性を見直した『FXDR114』では、旋回性能で不満を感じない。フォワードコントロールでありながらステップの裏にバンクセンサーを備え、サイレンサーはより深く車体を寝かせられるようトライオーバル形状に。公式PVはサーキットで撮影し、コーナリングも得意であることをアピールしているのだ。

試乗を終える頃には、もう頷くしかない。これは既存のユーザーらにしてみれば、賛否両論だろう。電動やアドベンチャーモデル、アジアでは250~500ccも発売すると宣言したハーレーダビッドソンだが、『FXDR114』にしても完全に新境地へ向かっている。この挑戦、たしかにファンなら語り合いたくもなる。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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