【ボルボ V60 新型試乗】快適性とスポーティさを等距離で感じられる…島崎七生人

じっくり乗ればわかる90シリーズとの違い

インテリアの上質感は、ほぼV90

キレ味が際立つ「T5インスクリプション」

ボルボ V60 T5 Inscription
ボルボ V60 T5 Inscription全 12 枚

じっくり乗ればわかる90シリーズとの違い

マスクをチラ見した程度では、最新の同世代同士だけに上級の「90シリーズ」と見紛うほど。ところが、じっくり観察し、乗ってみると、「ああ60なのだな」と実感が湧いた。

外観サイズは『V90』比で、全長は175mm短く、全幅は30mm小さい。ホイールベースも70mm短い(が、2870mmと十分な数値)。ただし全幅のカタログ数値は先代に対し新型は意外にも15mm小さく、現行の『XC60』と較べると50mmコンパクト。ゆったりとしている風でも引き締まったボディを、大きな抑揚がつけられたドア断面が一層、力強くみせている。

バックドア(のウインドウ)はV90よりも明らかに立っており、リヤオーバーハングをキュッと小気味よく終わらせたデザインも特徴だ。
ボルボ V60 T5 Inscriptionボルボ V60 T5 Inscription

インテリアの上質感は、ほぼV90

インテリアもV90と雰囲気が近い。インパネを始め、コンソール、ドアトリムなど、見較べればディテールを違えてあるのがわかるが、パッと見たイメージは、上質感を含めほぼ「V60=V90」といったところ。ちなみに設定されるガラスルーフの面積は同じだそう。また実際にシートに座ると、横方向は『V60』のほうがコンパクトな感じはするが、もちろん実質的な差はあまりなく、ゆったりと着座できる後席の足元、頭上のゆとりもタップリとしている。

タップリといえばラゲッジスペースもそうだ。床面の広さは奥行き、幅ともにざっくり1m以上あり、トノカバーまでの高さも46cmほどのゆとりがある。床板の一部をハネあげて使うお馴染みのパーティション、固定ストラップも装備する。
ボルボ V60 T5 Inscriptionボルボ V60 T5 Inscription

キレ味が際立つ「T5インスクリプション」

試乗に用意されたのは「T5インスクリプション」。254ps/35.7kgmの性能を発揮するガソリンエンジンの2リットルターボを搭載するモデルだ。オプションの走行モードも切り替わる“FOURーCアクティブパフォーマンスシャシー”、19インチアルミホイール&235/40R19 96Wタイヤ(コンチネンタル・プレミアムコンタクト6)を装着していた個体だったこともあり、段差を乗り越える際など、そのショックが伝わる場面も。

ハンドリング、クルマの挙動はV90の“タメ”の部分を削いだ印象で、快適性とスポーティさのどちらもが等距離で感じられる……そんな走りっぷりに思えた。動力性能はT5ということもあり余裕があり、とくに意識的に加速が欲しい場面で、シッカリとクルマが前に出る手応えがあるのはいいところ。キレ味のいい走り……そんなキャラの立ったクルマだ。
ボルボ V60 T5 Inscriptionボルボ V60 T5 Inscription

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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