【レクサス UX 海外試乗】FFパッケージの“上手さ”際立つ、レクサスの主力になるかも…西川淳

走りの方向性は「LC」がイメージリーダー

都会によく映えるエクステリア

レクサスの主力となるか

レクサス UX
レクサス UX全 12 枚

11月27日に発表されたばかりのレクサスの新型コンパクトSUV、『UX』。日本にも導入される2グレード、「UX200」と「UX250h」を海外で試した印象を簡単に振り返ってみたい。

走りの方向性は「LC」がイメージリーダー

レクサス UXレクサス UX
デザインや技術面の話はさておき、UXの走りで注目すべきは、常に『LC』と乗り比べながらライド・クォリティを煮詰めていった、というその開発過程だろう。もちろん、UXは溌剌としたスポーツカーではないし、豪華なクルージングGTでもない。そういうことではなく、レクサスというブランドの向かう方向性が、良し悪しは別にして、LCに代表されているということなのだろう。

つまりレクサスは今、LCを走りのイメージリーダーにおいている。それゆえ、以降に発表されたモデル、UX以外に『LS』や『ES』、もLC的な路線を大なり小なり歩んでいるはず。実はこれ、ラクジュアリーブランドにはとっても重要なことだ。メルセデスベンツもBMWも、LCのような存在を具体的に想定しているか否かは別にして、ライド・クォリティを一気通貫させるという点では徹底しており、レクサスも同じような結果を得ることになるだろう。もう一度言うけれど、LCがお手本でいいかどうかは別にして…。

よく知られているように、UXはトヨタのヒット作『C-HR』と共通のプラットフォーム・コンセプト(FFのアンダーフロア)を使う。その開発には、将来のありとあらゆる可能性を詰め込むため、車体開発側から一定の要望は出せても手出しはできない領域らしい。そうして、プラットフォームが完成後、UXならUXの、C-HRならC-HRの開発部隊にハンドオーバーされる。

そこからが、開発陣の腕の見せどころ。UXには、新開発の高速燃焼エンジンや発進用ギア付きCVT、改良型ハイブリッドシステムなど、新たな見どころがいくつかある。そういったツールを上手に活用して、どこまでLCから提示された最新レクサステイストをこの小さなSUVに盛り込んでいくのか。注目すべきは、その一点だった。

都会によく映えるエクステリア

レクサス UXレクサス UX
乗り込んで前を見たとき、視界がとても良いと思ったのがUXの第一印象だった。サイドミラーまわりがすっきりしていて巻き込みの不安がないことと、ボンネットの凹凸がクルマの“小ささ”をより分かり易くしてくれている。これなら慣れないストックホルムの街中でも臆せず走り回れそうな気がした。

落ち着いたインテリアのデザインも印象に残った。エクステリアはそれなりに目立つ元気なSUVという感じだが、インテリアは上品だ。文字が小さいのが玉に瑕だったが(なんせローガン)、それ以外は悪くない。小さな高級車的雰囲気がある。

同業の駆る他のUXと連なってストックホルムを駆けた。後から迫ってくる様子はなかなかの迫力だし、先行車のテールランプも眺めていて格好いい。都会によく映えるエクステリアだと思う。

レクサスの主力となるか

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ストックホルムにも都市高速があって、そこをある程度のペースで走るぶんにはハイブリッドモデルの4WDのほうが好ましい。適度な重厚感が落ち着いた走りを演出してくれるからだ。

高速燃焼ガソリンのFFはというと、なるほどLC的だ。軽快なハンドリングで、小さな凸凹も上手にいなす。段差を乗り越えたときのショックの抑え方などは、重厚なはずの4WDグレードよりもきれいにまとまった。ただし、都市高速を走ると軽快さが少しアダとなって、フロントまわりがブレることがある。まぁ、そのあたりもLCに似たかと思えば、納得もいく。

発進用に1速ギアを加えたCVT。それはもうCVTとは言わないのでは?などとひねくれた目で見ながら乗っていたが、発進はいいとして、やっぱりドライブしている最中の、あの独特のもっさりとした感触は拭いきれない。電気モーターとの組み合わせなら致し方ないけれど、そうでないならやっぱり段付きオートマチックの方が気持ちよく走ると思うのだが、どうだろう。

総合的にみて、UXの完成度は上々だ。このところのレクサス(というかトヨタ全体)は、ESもそうだったけれど、FFパッケージのほうが走りの演出が上手い。コンセプトが明確で、そこに至るプロセスも商品によく現れており、納得感も大きい。このところ、ドイツのラグジュアリーブランドも小さなSUVがよく売れている。レクサスでもこのUXあたりが主力になってくるのかもしれない。

レクサス UXレクサス UX

西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。

《西川淳》

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