「楽しく仕事をするからこそ、人を魅了するクルマが作れる」を形にした三菱の新R&Dオフィス

フェイスto フェイスのコミュニケーションの実現

7つのコンセプトでオフィス環境を改善

向こう10年を見据えた三菱の増強計画

新R&Dオフィスビル
新R&Dオフィスビル全 22 枚

三菱自動車工業は、2018年8月に竣工した愛知県岡崎市にある技術センター新施設を報道陣に公開した。

同施設は総面積約100万平方メートル。そのうちの約6割、58万5000平方メートルが開発を担うR&Dとなる。今回、お披露目されたのは、今年10月から稼動中の新R&Dオフィスビルと9月から稼動中の環境試験棟、電波試験棟の3施設だ。

フェイスtoフェイスのコミュニケーションの実現

現在、三菱自動車では「PRev(Performance Revolution)」と銘打って、開発部を中心にした改革を行なっている。施設見学会の説明会に登壇した副社長・山下光彦氏によると「会社の将来像を描き、それを実現させるための具体的な目標、方策、仕事の仕組み、企業文化を構築することで業務の革新を図る、これがパフォーマンス レボリューションです。その根底を支えるのが会社の文化や就業環境でもあります。今回の新しい設備は、その就業環境を整えるためでもある」と語った。さらに「建物の老朽化や新しい技術開発に取り組む必要性もあり、そのための設備の更新や新設も急務だった」とも。

新R&Dオフィスビル新R&Dオフィスビル

増員よるオフィスの手狭感、IT化などによるワークスタイルの変化から、既存のオフィスでは窮屈なことも出てきた。また、また同じ社内にいながらもコミュニケーションがメールだけという社員も多かったという。

7つのコンセプトでオフィス環境を改善

そこで、「楽しく仕事をするからこそ、人を魅了するクルマが作れる」をキャッチフレーズに働き方改革を実施。その結果、完成した新オフィスビルは、7つのコンセプトから成る快適なオフィス環境となった。

延べ床面積は約3万4719平方メートル、地上8階建。1階はエントランス、会議室、応接室、食堂。2階は大会議室、食堂、カフェ、祈祷室。3階から8階がオフィスエリアとなる。

新R&Dオフィスビル新R&Dオフィスビル

新R&Dオフィスビルの開発を担当した、開発マネージメント本部長・三浦 順氏はその7つのコンセプトについてこう語る。

「コミュニケーション、コンセントレーション、リラクゼーション、この3つが重なることで開発に必要なイノベーションを生み出します。そして、その3つを支えるのがフレキシビリティ、スマート、ダイバーシティ、クール(デザイン)なのです」

まず、社員同士の交流不足を解消しようと生まれたのが、多目的な使い方ができるコミュニケーションスペースの設置。傍らにはリフトが設置され、クルマを上階に上げることもできる。これなら実車を見ながらのミーティングも可能だ。そして、シンメトリーのオフィススペースを上下に貫く吹き抜けの階段。階段途中に広めの踊り場が設置され、他フロアの社員同士のコミュニケーションの場にもなる。

新R&Dオフィスビル新R&Dオフィスビル

コンセントレーションの部分を担うのは、快適な空調換気システムや集中できる多目的集中ブースや集中席。社内アンケートで集中を妨げる要因を探ったところ、約7割のスタッフが「空調・室温」と答えたそうだ。ビル中央に設置された吹き抜けの階段は効率的な換気にも一役買っている。

そして、昨今の他オフィスにも多く取り入れられているリラクゼーションスペースの設置。書棚を備えたオープンカウンター付き多目的エリアやリラックスできるソファー席。さらに外の空気に触れられるオープンテラスなど、リフレッシュして一息できる空間が各階に設置されている。

新R&Dオフィスビル新R&Dオフィスビル

他にも、移動式什器で自由にオフィスレイアウトを変更できるフレキシビリティさや、ITに対応したスマート化、人種や宗教、性別に関わらず広く人材を活用することで生産性を高めるダイバーシティの考え方も取り入れられている。

もちろん随所には赤黒のコーポレートカラーを配したデザインが取り入れられ、スタイリッシュでクールなオフィスビルとなっている。

向こう10年を見据えた三菱の増強計画

現在、このオフィスでは約2000人が就業しているという。副社長・山下氏は「ひとつのクルマの開発にはエンジニアだけでも500人強が関わって仕事をすることになる。そのためにはコミュニケーションがとても大事」と。

環境試験棟環境試験棟

今回、他にも見学できた環境試験棟や電波試験棟も新たに設置された施設。環境試験棟では、マイナス45度からプラス55度までを再現でき、雪や雨を降らすこともできる。これまではクルマを寒冷地や砂漠などに持ち込んでテストしていたものが、開発拠点のすぐそばで行えるようになった。電波試験棟ではさまざまな機器から発せられる電波に対してクルマが正常に動くかなどが試験されている。

「過去を振り返ると不幸な事件もあったせいで、恒常的に新車を出すことができなかった時代もあった。そういう中で人員を増やさない政策をとってきたこともあるが、それでは我々の事業を支えるような基本となる商品が作れない。そのために人員や開発費を増やしたりして、会社全体としてのキャパシティを広げています。そうしないといいクルマづくりはできませんから」と山下副社長。

会社設立からもうすぐ50年を迎える三菱自動車。キャパの増強と設備の更新も兼ねて作られた新オフィスビルと2つの実験室。今後、向こう10年をかけてさらにこの増強計画は続くそうだ。

《松崎祐子》

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