変わりゆくモーターショーの姿、デトロイトは復興なるか?…次回から6月開催に

デトロイトモーターショー2019
デトロイトモーターショー2019全 23 枚

2019年1月に開催された北米国際オートショー(NAIAS)、通称デトロイトモーターショーは今年でその形態を変える。国際モーターショーとしてモータリゼーションをリードしてきた同ショーだが、どうも時代の流れとともに大きなギャップが生まれてしまったようだ。

出展社も演出も充実していた20年前

デトロイトモーターショー2001デトロイトモーターショー2001

初めてこのショーに足を運んだのはおよそ20年前になる。その頃はとてつもなく派手なイベントで、世界中からもたくさんのメディアが訪れていた。元気だったのはGM、フォード、クライスラーのビッグ3。GMにはキャデラック、シボレー、ビュイック、オールズモビル、ポンティアック、サターンがあり、グループとしてスズキやスバルも出展していた。クライスラーはダッジとプリマス、ジープ。そして98年11月のダイムラー・ベンツ社との合併を機に、2000年あたりから新たな動きを見せた。というか、メルセデスブースがアメリカンな雰囲気を持つようになったといった方が正しい。カウボーイスタイルの当時のダイムラーCEOを見た時は驚いた。堅っ苦しい学者肌からの180度転換だ。そうそう、スマートもその後ブースを構える。

そしてどこよりも大掛かりなブースをこしらえていたのがフォード。というか、フォードグループ。リンカーン、ボルボ、アストンマーティン 、ジャガー、ランドローバー、マツダを一堂に集め存在をアピールした。しかも、フォードのプレスカンファレンスはブースではなく、通常はホッケーなどに使うスタジアムが使われた。我々プレスはまさにエンターテイメントを見せられているようだった。

このほか、ヨーロッパ勢はフォルクスワーゲン、BMW、MINI、アウディ、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニ、アルファロメオ云々、日本勢はトヨタ、レクサス、日産、インフィニティ、ホンダ、アキュラ、三菱とほぼすべてが顔を揃えていたと記憶する。

それぞれの演出もスゴかった。ブースの大型モニターに映し出された新型車がそのままモニターを突き破ってステージに登場したり、ステージ上で曲芸的なパフォーマーが演技を披露することも少なくなかった。ちょっとしたミュージカルを見た気がする。

欧州のデトロイト離れ、新たな姿を求めて会期変更

デトロイトモーターショー2019デトロイトモーターショー2019

各ブランドがなぜこの地にチカラを注いでいたかというと、ショーと北米でのセールスが直結していたからだ。ショー自体が全米で注目され、メディアもそれを煽った。まぁ、その背景にはビッグ3自体にマーケットを引きつける魅力があったからであろう。デトロイトには世界中の自動車メーカーが駐在所を、サプライヤーは研究部門から工場まで配置していた。

だが、ここ数年の様相はまったく違う。それこそリーマンショックで一時低迷していたものの、その後じわじわと復活していたが、もはや衰退の勢いは誰も止められない。ヨーロッパブランドのショーからの撤退で、ブーススペースをメーカーで埋めることは厳しくなっていた。最初は合間をサプライヤーやタイヤメーカーが埋めていたがそれも限りがあり、地元のカフェが休憩スペースを作ったり、地元カーショップがカスタムカーを展示したりした。もう国際ショーとは言い難い。

そういった経緯から2020年は6月に開催されることが決まっている。もちろん、ブースが埋まらないのだからこれまでとは違う形態になるのは必至だ。噂によるとメイン会場となるCOBOホールとの契約が残っているので、そこを起点にするのは変わらないだろう。

ではどう変わるかだが、思うに近くの公園との二会場開催になる気がする。6月のデトロイトはじつにいい気候。外で過ごすには絶好の季節だ。公園でクラシックカーを並べ、コンクールデレガンスのようなものをするのもいい。なんといったってここはモータウンと呼ばれた場所、クラシックカーオーナーは数多くいる。100数十年の足跡を見せるのに底力を見せてもらいたいものである。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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