気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
先週急きょ、ホンダの八郷隆弘社長が英国南部のスウィンドン工場での生産を2021年までに終えると発表するなど、欧州連合(EU)からの離脱をめぐり混迷が深まる英国で、トヨタ自動車が不安と現実の板挟みになっているという。
きょうの産経が詳しくレポートしているが、それによると、「合意なき離脱」となった場合、年間約13万台を生産するトヨタの英国工場への影響は甚大で、すでに、英国に工場を持つ日産自動車やホンダは生産計画の見直しを発表したものの「トヨタはまだ動きをみせていない」と伝えている。
その背景には「英国工場の強化を始めたばかりで、欧州販売にも追い風が吹いているという事情があり、トヨタは悩ましい立場に置かれている」と指摘。例えば、トヨタの競争力の源泉である「トヨタ生産方式」は、各工程で必要なものを必要な量だけ停滞なく生産する手法「ジャスト・イン・タイム」に基づき、工場が抱える部品の在庫は必要最小限に抑えられており、通常は4時間分しかないという。
ところが、合意なき離脱で、英仏間のドーバー海峡をつなぐユーロトンネルで新たに通関手続きが必要となれば大渋滞が起き、部品の供給が途絶えるのは必至だとみられているからだ。
一方で、欧州販売が前年比でマイナスだった日産、ホンダと異なり、トヨタの欧州販売は3%増の98万3000台と好調。現地でエコカーの“本命”とされてきたディーゼル車は独フォルクスワーゲンの排ガス不正の影響で一転、需要が急落。「代わりにトヨタが得意とするハイブリッド車の人気が高まり、追い風となっているため」と伝えている。
先週の会見でホンダの八郷社長は「離脱問題が生産撤退の理由ではない」と幾度も強調したが、それも道理で、同じ英国で現地生産するトヨタとは悩める“お家の事情”がまったく違うことがよくわかる。それにしても、ホンダの場合は3年後の撤退をこのタイミングで唐突に発表したことについてはイマイチ理解に苦しむ。
TMUKで生産される欧州仕様カローラ
2019年2月25日付
●デンソーバイオで提携、ユーグレナと、藻類燃料を生産(読売・5面)
●辺野古「反対」72%、玉城氏「工事中止を」投票率52.46%沖縄県民投票(朝日・1面)
●猫の交通安全、イエローハットがキャンペーン(毎日・9面)
●英混迷悩めるトヨタ、現地生産拠点を強化欧州販売好調(産経・3面)
●MRJ、国の飛行試験遅れ、天候不順など響く(読売・5面)