ホンダ電動バイクとソフトバンク通信技術がタッグ、「宮古カレン」ねらいは“体験の提供”

「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック
「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック全 14 枚

ホンダやソフトバンクが宮古島で電動バイクを走らせる。そのねらいは“体験の提供”だ。運営するカレンスタイルの松良代表取締役社長はこう説明する。

「二輪レンタル事業“宮古カレン”は移動手段を提供するのではなく、宮古の魅力を感じていただく“体験”を提供しようというサービスです。宮古島というのは自然豊かで、電動バイクなら花や風の香りをそのまま感じることができます」

宮古カレンは、宮古島のアクティビティとして電動バイクをレンタルするサービスで、2019年3月6日から株式会社カレンスタイルが提供を開始する。電動バイクにはホンダ『PCXエレクトリック』が選ばれた。

バッテリー交換も待ち遠しい!?

「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック

ホンダはPCXエレクトリックに珊瑚をあしらった専用デザインを施し20台を用意。さらに70個のバッテリーパックと充電器を配備し、ヘルメットやグローブ、ウエアも準備した。また、車両メンテナンスのための支店、万一のためのロードサービスを用意している。

キャッチフレーズは“OVER THE BRIDGE”。宮古島では隣接する3つの島(池間島、伊良部島、来間島)に対し、3つの大きな橋が架かり、PCXエレクトリックで渡るという体験を推奨ルートとしている。

すべての島を周遊して巡ると走行距離は100km近くになり、1充電あたりの走行距離41km(60km/h定地走行テスト値)のPCXエレクトリックだと、バッテリーの充電が2~3回は必要となってくる。

宮古カレンでは、充電ではなくバッテリーをスピーディに“交換”できる「バッテリー交換ステーション」を観光ルート上に16ヶ所も用意。いずれもカフェや食堂、土産屋で、利用者はティータイムや食事、ギフト購入などを楽しみながら、ついでにバッテリー交換ができる。

“見守る”ために車両データをリアルタイムで収集

「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック

また、ソフトバンクの移動体通信網に、車両に搭載された通信ユニットがつながり、位置情報や走行距離、速度、バッテリー残量などの車両データをリアルタイムで管理者側が遠隔監視し、なにかアクシデント(万一の転倒、充電切れなど)があったときに即座に対応する。

ソフトバンク株式会社ITサービス開発本部CPS事業推進室室長 山口典男博士(システム情報科学)は「利用者に何らかの情報を送るということはなく、どちからかといえば“見守る系”です」という。ユーザーが快適に利用できるよう万全を期した。

収集したデータについて本田技研工業株式会社二輪事業本部事業企画部部長 三原大樹氏は、「今後の電動バイクの開発に活かしていく」と話した。

タンデムでの利用も視野に

「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック「宮古カレン」ホンダ PCXエレクトリック

じつはこの3社、電動スクーター「EV-neo」(原付1種)を利用したパーソナルモビリティレンタルサービス「瀬戸内カレン」(2016年3月~、香川県小豆郡・豊島=てしま)で、すでに実績がある。

豊島もまた自然豊かで、環境負荷の少ない電動バイクをレンタルに利用した。島は全周約20kmと小さく、1充電走行距離34km(30km/h定地走行テスト値)の「EV-neo」でも問題なかったが、より広い宮古島ではPCXエレクトリックを導入し、タンデムでも利用できるようにした。

走行可能距離が長いだけでなく、最高出力も3.8PSのEV-neoに対し、5.7PSとパワフル。お土産など荷物も積めるようトップケースを備え、タンデム時にはそれが背もたれになって安心感がある。

利用料金は12,960円/日(消費税8%込み)で、保険や装備一式のレンタルなどすべてを含む。前日17時までに「宮古カレン」のホームページで予約し、PCXエレクトリックは常設されるホテル(3か所)か、配車可能なホテル(4か所)から乗り出し返却すればいい。

ホンダモーターサイクルジャパン代表取締役社長 加藤千明氏(写真左)と本田技研工業株式会社二輪事業本部事業企画部部長 三原大樹氏ホンダモーターサイクルジャパン代表取締役社長 加藤千明氏(写真左)と本田技研工業株式会社二輪事業本部事業企画部部長 三原大樹氏

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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