【VW パサートTDI 新型試乗】扱いやすく洗練されたディーゼルの走り…島崎七生人

VWパサート TDI Highline
VWパサート TDI Highline全 10 枚

実用車を作らせたらピカイチのVW

独自のスパイス、フレーバーで存在感を主張するのは『アルテオン』。対して『パサート』は、ブレることなくVWの上級モデルとして変わらない魅力を放っている。

とくに現行モデルは、VWでは唯一のノッチバックセダンとしても貴重な存在。貴重と書いたのは、実用車を作らせたらVWはピカイチ……そう思うからでもあり、とりわけパサートは、ゆとりのあるボディサイズを活かしきった室内空間、トランクスペースでは、相変わらずクラストップレベルの実力をもっている。

試乗車は「TDI」モデル、すなわちディーゼルエンジン搭載車。日本仕様では追加車種となったが、もともとディーゼルは本国ではポピュラーな存在だっただけに、その完成度の高さは乗った瞬間にわかる。

VWパサート TDI HighlineVWパサート TDI Highline

クラスに相応しい洗練されたマナー

とくにクラスに相応しいと思えるのが、ジェントルさをいささかも損なわない洗練されたマナーで、エンジンを始動させるとセルが回る音は小さく耳に届くものの、その後のエンジン振動の伝わりかたは非常に小さい。駐車ブレーキのオート機構を使えば、停止と発進のタイミングで無粋な機械的ショックがまったくない、スムースな振る舞いも見せてくれる。

VWパサート TDI HighlineVWパサート TDI Highline

低速から全域で扱いやすいのも特徴。排気量2リットル+ターボで190ps/40.8kgmの性能を持ちATは6段だが、通常の走らせ方では、まるでドライバーの気持ちを見通したように、穏やかでゆったりとした加減速をみせる。

走行モードを“ノーマル”から“スポーツ”に切り替えれば(VW車全般にいえるが、シフト左側の切り替えボタンの位置は、右ハンドルではできれば右側のドライバー側に“反転”させてほしい)、アクセルレスポンスがキレ味の増したものになり、決して過分ではないが活きのいい走らせかたが可能となる。

VWパサート TDI HighlineVWパサート TDI Highline

主張しすぎない控えめなところに好感

235/45R18 94Wサイズのタイヤ(試乗車はコンチネンタル・スポーツコンタクト5だった)を履く足回りは、パワーフィーツ同様、乗員の意を解したフラットでなめらかな乗り味を実現。ステアリングフィールも穏やかで、このクラスにふさわしい味わい。

VWパサート TDI HighlineVWパサート TDI Highline

リヤシートはスペースにゆとりがあるだけでなく、寛いだ姿勢で着座できるシートのできも秀逸。トランクルームの広さは相変わらずで、トリム類に使われている素材はスバ抜けて上等というわけではないが、反対にどんな荷物でも気兼ねなく放り込める実用性の高さが特徴だろう。

装飾過多ではないインパネまわりのデザイン、雰囲気には安心感がある。現在のモデルの天地に薄いグリルをもつ外観も、主張しすぎない控えめなところに好感がもてる。

VWパサート TDI HighlineVWパサート TDI Highline

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

VWパサート TDI HighlineVWパサート TDI Highline

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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