【トヨタ RAV4 新型】「SUVの楽しさを体現、初代のようにアクティブな気持ちを呼び覚ます車に」…佐伯チーフエンジニア

トヨタ RAV4 新型
トヨタ RAV4 新型全 22 枚

今につながるクロスオーバーSUVの先駆者がトヨタ『RAV4』である。1994年にデビューするや瞬く間にファンを増やした。その後は日本だけでなく海外でもヒットを飛ばしている。

乗用車のプラットフォームを用い、フルタイム4WDを主役に据えたRAV4は、四半世紀に渡ってクロスオーバーSUV市場を牽引してきた。今やグローバルでは年間80万台の生産を記録する売れっ子なのだ。また、北米では月に2万5000台以上の販売台数をコンスタントに記録し、あの『カムリ』をも凌ぐ人気者に成長している。

新パワートレインと細かい気配りを備えたSUVとして復活

トヨタ RAV4 新型トヨタ RAV4 新型その5代目が、4月10日に日本でもデビューを果たした。4代目のRAV4は日本での販売を見送っている。だが、ファンの熱い期待に応え、再び日本市場に戻ってきたのだ。開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With 4Wheel Drive」で、「SUVらしい力強さと使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WD」の意味になる。都会でもアウトドアでも楽しめる、新感覚のクロスオーバーSUVが新型RAV4だ。

デザインはSUVらしい力強さと洗練さを融合している。キャビンは開放的で、便利な気配り空間だ。全員が快適に座れ、ラゲッジスペースもクラストップレベルだから、あらゆるシーンに応えることができる。また、使い勝手のいい小物入れやカップホルダーなど、乗る人に対する配慮もきめ細かい。最新の予防安全パッケージである「トヨタセーフティセンス」も全車に標準装備した。そして安全と安心に加え、快適と便利を提供するコネクティッドサービスを体感できるように、車載通信機DCMを全車に標準装備している。

パワートレインは2つあり、どちらも新世代のダイナミックフォースエンジンだ。ひとつは2.5リットルの直列4気筒直噴DOHCエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド(リダクション機構付きのTHSII)で、4WDは電気式4輪駆動のE-Fourとした。もうひとつは2.0リットル直列4気筒直噴DOHCで、こちらはダイレクトシフトCVTを採用する。FF方式の2WDのほか、2種類の4WDシステムを採用しているのが特徴だ。注目は、世界初の新しい4WDシステム、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」で、優れた走行性能を実現している。

「同じようなクルマばかりでは、マーケットが衰退してしまう」

トヨタ RAV4 チーフエンジニアの佐伯禎一(さえきよしかず)氏トヨタ RAV4 チーフエンジニアの佐伯禎一(さえきよしかず)氏開発を担当したチーフエンジニアの佐伯禎一氏に新型RAV4の狙いと抱負を聞いた。

----:RAV4が誕生して25年になります。初代と2代目のRAV4が開拓したクロスオーバーSUVというジャンルは世界中に広がり、競合車も数多く参入してきました。5代目の開発において目指したのは、どういったところなのでしょうか。

佐伯氏(以下敬称略):おかげさまでRAV4は好調に販売を伸ばしています。しかし、SUV本来の枠組みが薄れてきているのでは…、という危機感も抱きました。どれもが同じようなクルマになってしまうと、そのマーケットは衰退してしまうのでは、と思ったのです。次の25年を考えたとき、どうしようか、と考えました。SUVのパイオニアとしてのRAV4の使命は、SUV本来の魅力である「ワク(ワク)ドキ(ドキ)」感にあると思っています。SUVって楽しいんだよね、と感じてもらいたい。だから5代目に必要なのは、今一度SUVの楽しさを体現し、初代モデルのように新しいことにチャレンジするアクティブな気持ちを呼び覚ますことだと考えたのです。

----:エクステリアもSUVらしさを強調した力強いデザインになっていますね。

佐伯:造形テーマは、幾何学形状の八角形2つを、90度ずらしてはめ合わせた「クロスオクタゴン」を造形テーマにしています。アクティブで力強いワクドキ感(Adventure)と都会にも似合う洗練さ(Refined)を併せ持ったデザインにしました。が、タフさと安定感のある個性的なデザインにもこだわったのです。だからオフロードを象徴するグレードとして「Adventure」を設定しました。

----:RAV4はセダンから乗り換える人も増えているようですね。

佐伯:3代目までの前半は、トラックライクなSUVといったところがありました。だからセダンから乗り換えると快適性はちょっと足りないように感じたのです。カーライクなSUVを目指そうとしたとき、乗り越えなくてはならないのは、静粛性や居心地のよさなど、空間の快適性、そして機能ではなくエモーショナルなところでした。

----:佐伯さんはカムリ担当だったから、快適性には強いこだわりがありましたね。4代目は快適性を大きく向上させましたが、不満に思うところもあったのでしょうか!?

佐伯:4代目のRAV4は北米でナンバーワンになりましたが、カーライクな方向のSUVでいいのかな、と思う部分もあったのです。売れているとコンサバになりがちですが、5代目のRAV4にはSUV本来のワクドキ感や夢をもう少し盛り込んで、ミッドサイズSUVの世界観を変えてみようと思いました。RAV4のネーミングである「レクリエーショナル」と「アクティブ」を表現するためには、もっと挑戦しなくてはダメだと思ったのです。だからエクステリアにSUVらしいラギット感を加えたし、SUVファンの憧れだった大径タイヤも履かせました。タフさに加え、リフト感も表現したのです。

----:4WDシステムも多彩ですね。

佐伯:RAV4は車名に、ストレートに「4」の文字が入っています。だから5代目ではもう少し4WDに本腰を入れようと思いました。四駆ってオフロードだけでなくオンロードでも楽しめるんです。後輪をしっかり回すことによって気持ちいい走りを楽しめる領域が広がります。だからガソリンエンジン搭載車には、ダイナミックトルクコントロール4WDに加え、世界で初となるダイナミックトルクベクタリングAWDを設定しました。どちらが優れているではなく、オーナーの使う環境によって気に入ったシステムを選んでもらえればいいと思います。

----:今度のRAV4は楽しいクルマですね。

佐伯:最近のユーザーは週末の時間の使い方が上手になっています。よりアクティブなライフスタイルを好む人も増えているので、4WDのバリエーションを増やしました。ぜひ、新型RAV4のステアリングを握り、その魅力と楽しさを感じ取ってください。
トヨタ RAV4 新型に関するニュースまとめ一覧

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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