【三菱 デリカD:5 新型試乗】クロカン版「羊の皮を被った狼」…諸星陽一

三菱 デリカD:5 新型
三菱 デリカD:5 新型全 8 枚

三菱の『デリカD:5』のマイナーチェンジはディーゼルエンジンの進歩がもっとも大きな部分だが、じつはシャシーまわりは大進歩と言っていいほどの変わりようだ。

シャシーで大きな変更があったのは前後サスペションとステアリング機構。フロントサスはフリクションの低減、リヤサスはショックアブソーバーの容量アップとスプリングレートの見直しが行われた。ステアリング機構は従来の油圧式パワステから、デュアルピニオン式の電動パワステに変更されている。加えて、フロントまわりのモノコック構造も見直され剛性強化が行われた。

オンロードのコーナリングではスポーティでしっかりしたハンドリングが得られている。マイナーチェンジ前のモデルと乗り比べるとその差はかなり大きく、マイチェン前はいかにも1ボックスという雰囲気だったが、最新モデルはSUVのようなしっかり感が持たされている。なにより感心させられるのが正確さで、以前は修正舵が必要とされる場面でも、一発でステアリングが決まる。そして妙な遊び感も取り去られているところも好感が持てる。

エンジンは2馬力ダウンだが、フリクションダウンを中心とするチューニングが行われたこともあり、スムーズで気持ちいいトルク発生を見せる。アクセル操作に対するエンジン回転の上昇とトルクの出方はガソリンエンジンのようなスマートさ。残念なのは車外でのディーゼルノイズが若干大きめことだが、乗っていれば気になることはない。

三菱 デリカD:5 新型三菱 デリカD:5 新型

古さが残っていたインパネまわりのデザインも一新、シートなども新しくなり、インテリアの雰囲気はガラッとモダンになった。デリカD:5の魅力はなんと言ってもアウトドアで発揮されるのだが、今回のマイナーチェンジではアウトドア感を大きくは出していない。さらに言えば新グレードとしてアーバンギアを設定。よりその色を濃くした。

しかし、そのうちに秘めるポテンシャルは相変わらず高く、ラフロードでの走破性はクラストップ。ボックスタイプのクルマでこれほどのクロカン性能を持つクルマは世界で唯一、つまり世界一の性能を持っている。かつて、スポーツカーの世界で「羊の皮を被った狼」という言葉があった。普通のセダンのスタイルなのに、スポーツカーのような性能を持つクルマの比喩だが、デリカD:5はそのクロカン版とも言えるだろう。

三菱 デリカD:5 新型三菱 デリカD:5 新型

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

三菱 デリカD:5 新型三菱 デリカD:5 新型

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. 多胡運輸が破産、首都高のローリー火災事故で損害賠償32億円
  3. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  4. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  5. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
  6. ノンジャンル220台のマニアック車が集合…第15回自美研ミーティング
  7. ホンダ『ヴェゼル』マイナーチェンジで3グレードに集約、納期改善へ…「HuNT」「PLaY」新設定で個性強調
  8. メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
  9. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  10. MINIに新種『エースマン』登場、航続406kmのEV…北京モーターショー2024
ランキングをもっと見る