【メッツラー クルーズテック 試乗】フルフェイスでハーレー!? イマドキのハイグリップ二輪タイヤ…青木タカオ

イタリア・シチリア島でメッツラー CRUISETEC(クルーズテック)を試した
イタリア・シチリア島でメッツラー CRUISETEC(クルーズテック)を試した全 20 枚

「ハーレーはもうコーナリングを苦手としない!」

そう言わんばかりの新作タイヤがメッツラーから登場した。『CRUISETEC(クルーズテック)』だ。イタリア・シチリア島にて開かれたジャーナリスト向け試乗会で、徹底的に乗り込んできた。

まず説明しておきたいのが、最近のアメリカンVツインクルーザーが昔とだいぶ変わってきていることだ。そして、お気づきの人もいるかもしれない。ハーレーやインディアンなどに乗るライダーの一部が、フルフェイスのヘルメットを被ってスポーティなライディングを楽しんでいる。

一昔前なら、味わい深いエンジンを堪能しつつ長い距離を走るのが、その醍醐味だったはず。しかし最近はエンジンがハイパワー化し、足まわりもスポーツバイクのように強化され、倒立フロントフォークやモノショック式サスペンションを備えたモデルも珍しくない。

カスタムも昔なら装飾やマフラー、快適装備の追加がメインであったはずだが、そうしたハイパフォーマンス系クルーザーに乗るユーザーらはより高性能を求めてエンジンをチューンナップしたり、ホイールやブレーキ、サスペンションなど足まわりを強化するなど、スポーツモデルに乗るライダーと変わらないモディファイを施している。

スポーツライディングを楽しむライダーのために

イタリア・シチリア島でメッツラー CRUISETEC(クルーズテック)を試したイタリア・シチリア島でメッツラー CRUISETEC(クルーズテック)を試した
シチリア島で筆者を待っていたメッツラーの2輪タイヤ開発責任者 サルヴァトーレ・ペニーズィ氏は、「現在のクルーザー乗りたちは、もう既存のタイヤでは満足できなくなっているのです」と、力を込めた。そして、さらにこう続ける。

「最新のアメリカンクルーザーは高性能なエンジンや足まわりを獲得し、スポーティなライディングを実現しました。我々は市場の要望を聞き、もっとハイパフォーマンスなタイヤが求められていることがわかったのです」

試乗車としてハーレーダビッドソン『ファットボブ』や『アイアン1200』、インディアン『スカウト』などが用意され、いずれもクルーザーながら“走り”も重視した新世代モデルたち。クルーザーながら豪快なスポーツライディングが味わえる。具体的には、こうした機種たちがクルーズテックのメインターゲットとなる。

身のこなしが軽く、カーブが待ち遠しい!

イタリア・シチリア島でメッツラー CRUISETEC(クルーズテック)を試したイタリア・シチリア島でメッツラー CRUISETEC(クルーズテック)を試した
メッツラーのスタッフが案内してくれた試乗コースは、従来ならクルーザーには似つかわしいものだった。石畳の美しい街並みをさっさと抜け、ハイウェイをかっ飛ばすと、あとはワインディング三昧。まるでスポーツバイクのテストコースのようだ。

しかしカーブを駆け抜けると、すぐに意図することがわかった。クルーズテックはコーナリング性能が高い。それを存分に味わって欲しいというコース設定になっている。

まず初期旋回がヘヴィになりがちなのが、こうしたクルーザーたちだが、コーナーエントリーがスムーズでクイックだから驚く。これをサルヴァトーレ氏に話すと、「前輪のトレッドパターンを細かく刻むことで、車体がシャープに寝ていくことを実現しました」と教えてくれた。

旋回中はしっとりとした接地感があり、ステップが路面を擦っても安心してフルバンクを維持していられる。前後タイヤのトラクションがしっかりかかり、アクセルをより大胆に開けていけるのだ。

ウェットや冷間時も強い!


リアのコンパウンドはセンターとショルダーとで分けられ、長距離を走っても真ん中だけが極端に擦り減ってしまうことを防いだ。均一性のある摩耗で、軽快なハンドリングを維持する構造としているのも見逃せない。

高速道路でも安定感があり、乗り心地も良好。微振動やノイズもなく、衝撃吸収性に優れ、1日ずっと乗り続けたが疲労感が少なかったことも付け加えておこう。

そしてさらに、たっぷり水をまいたクローズドコースも走ったが、排水性に優れる溝のパターンと耐候性の高いコンパウンド配合により、濡れた路面や冷間時にも強いことがわかった。

クルーザーでワインディングをスポーティに走りたい人に、待望のハイパフォーマンスタイヤがデビュー。日本では2019年7月より発売予定だ。

■5つ星評価
グリップ:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
ウェット:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説し、休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持されている。現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアにて執筆中、バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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