明日のインテリア加飾技術…人とくるまのテクノロジー2019

人とくるまのテクノロジー2019
人とくるまのテクノロジー2019全 4 枚

自動車の室内加飾。例えばダッシュボード。昔の高級車はウッドパネルと相場は決まっていた。そして庶民派のクルマはというと、安っぽいプラスチックに覆われたものが多かったのだが、未来はそうでもないようだ。

最近でこそ、ハイエンドのクルマでもピアノブラックと称した黒いプラスチックでごまかすクルマも増えていて、インテリアの質感に少し疑問を持っていた今日この頃なのだが、なかなか面白い技術が今回の人とくるまのテクノロジー展で展示されていた。

一つは大日本印刷(DNP)が展示したバックリットフィルムと呼ばれる技術。フィルム背面から照明を当てることで柄や色相を変化させることが出来る光透過の加飾フィルムだということだが、その鮮やかな色彩や表現法には目を奪われた。そもそもディスプレイも優れていたから、多くの人が目を止めたようである。さらには感触フィルムと言って、表面に凹凸をつけて質感を出すフィルムまで用意されるなど、こうした技術が生かされれば、自動車の室内空間はさらに鮮やかでゴージャスなものへと生まれ変わる。

実は似たような技術は南条装備工業株式会社でも展示されていた。ひとつは両面印刷の加飾フィルムで、フィルムの両面にテクスチャを印刷することで、それぞれのテクスチャの重なりによる世界観が表現できるという。ここには、天然素材とは異なる人の発想からしか生まれない新しい表現が可能なのだそうだ。

人とくるまのテクノロジー2019人とくるまのテクノロジー2019

もう一つはプラスチックにしかできない新たな世界観ということで、プラスチックの透明性を活かし、色や厚みを組み合わせることでこれまでにない奥行き感を表現できるもの。基材層とクリア層の厚みや凹凸を変えることによって、全く新しい世界観を表現した加飾となっていた。目を引いたのはそのクリア層自体に凹凸をつけて、例えば水の流れを表現したり、波紋を表現したりすることが出来ていたこと。その奥にはどれも鮮やかな色彩が敷き詰められていることは言うまでもない。

南条装備工業株式会社はメインクライアントがマツダということで、ディスプレイもマツダ車のドアトリムパネルが展示されていたが、こうした加飾フィルムや重なりによる奥行き感の表現は、そう遠くない将来マツダ車で再現されることになりそうで、自動車の室内が一気に華やいだものになること間違いなしだ。とかく電動技術や自動運転技術などに目を奪われがちだが、こうした技術が投入されることで新たな自動車所有欲も掘り起こして欲しいものである。

人とくるまのテクノロジー2019人とくるまのテクノロジー2019

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  2. シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
  3. ジムニー愛好者必見! ベルサスVV25MXが切り拓く新たなカスタムトレンドPR
  4. マツダ、新型3列シートSUV『CX-80』をついに世界初公開 日本導入時期は
  5. パフォーマンスの新次元『ブリヂストン REGNO GR-Xlll』はブリヂストンが目指す究極のバランスに仕上がるPR
  6. トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
  7. レクサス『GX』通常販売は今秋に、先行して100台を抽選販売へ 価格は1235万円
  8. レゴ ブロック初心者再び! セナが愛用した「マクラーレン MP4/4」を組み立ててみたら感激した
  9. ヤマハ伝統の“白×赤”カラーがついに登場!ネオレトロバイク『XSR900』2024年モデル
  10. 80年代GPマシンを現代に、ヤマハ『XSR900 GP』が143万円で5月20日に発売決定!
ランキングをもっと見る