【三菱 eKクロス 新型試乗】長距離移動にも適したエンジンと先進装備…渡辺陽一郎

三菱 eKクロス 新型
三菱 eKクロス 新型全 12 枚

SUVテイストに魅力

三菱『eK』シリーズは、日産『デイズ』と共同開発された軽自動車で、エンジンや足まわりなどの基本的な造りは同じだ。

ただし『eKクロス』のフロントマスクは、今の三菱車に共通する「ダイナミックシールド」のデザインで、『デリカD:5』に似ている。開発者は「日産のデザインしたボディに、三菱のフロントマスクを組み合わせるのに苦労した」という。

デイズとほぼ同じ外観の『eKワゴン』もあるが、魅力があるのはSUV風のeKクロスだろう。価格はデイズハイウェイスターよりも少し高く見えるが、eKシリーズは全車に寒冷地仕様を標準装着しており、装備内容が異なる。

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

eKシリーズとデイズの微妙な違い

タイヤの設定も違う。デイズはハイウェイスターターボのみが15インチタイヤ(165/55R15)を標準装着して、それ以外は14インチ(155/65R14)になる(ハイウェイスターXもオプションで15インチを選べる)。14インチは路上のデコボコを伝えにくく、市街地での乗り心地は比較的快適だ。

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

一方、eKクロスはターボの「T」に加えて、売れ筋になるノーマルエンジンの「G」も15インチだから、14インチを選びにくい。フロントマスクも含めて、eKシリーズとデイズには微妙な違いがある。

動力性能はデイズと同様、ノーマルエンジンが扱いやすく、ノイズも抑えたから魅力的だ。試乗して性能に不満を感じたら、ターボを検討すると良い。

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

走行安定性も軽自動車では優れている。速度を高めて曲がるとボディは大きめに傾くが、4輪の接地性は削がれにくい。

後席の座り心地とシートアレンジは惜しい

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

居住性はインパネ周辺の質感も含めて、前席は快適だ。後席は頭上と足元の空間は広いが、座り心地の柔軟性が乏しく、改善の余地がある。荷室のアレンジもシンプルだ。後席の前後スライドは左右一体式で分割されない。背もたれを前側に倒しても座面は下がらず、広げた荷室の床に段差が生じる。

ちなみにライバル車の『ワゴンR』は、背もたれの前倒しに連動して座面も下がり、前後スライドを含めてすべて左右分割式だ。eKシリーズとデイズは優れた軽自動車だが、後席の座り心地とシートアレンジには欠点が多い。

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

安全装備は充実しており、サイド&カーテンエアバッグは、デイズと同じく全車に標準装着した。軽自動車にはオプション設定のない車種も多く、全車に標準装着したことは注目される。緊急自動ブレーキと運転支援機能も先進的だ。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは全車速追従型で、停車状態までカバーできる。実用回転域の駆動力を高めたエンジンと相まって、高速道路を使った長距離移動にも適する。それだけに後席の座り心地が惜しい。

またeKクロスはSUVのイメージだから、シートに溌水加工を施したり、荷室を水洗いできるグレードを用意すると、個性が一層際立つだろう。今後の展開が楽しみだ。

三菱 eKクロス 新型とデリカD:5(奥)三菱 eKクロス 新型とデリカD:5(奥)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

三菱 eKクロス とeKワゴン(右)三菱 eKクロス とeKワゴン(右)

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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