【三菱 eKクロス 新型試乗】コンパクトカー真っ青の、軽自動車の大革命だ…青山尚暉

三菱 eKクロス 新型
三菱 eKクロス 新型全 32 枚

ライバル不在の“超”個性派モデル

三菱自動車は『アウトランダー PHEV』や『デリカD:5』など、ほかにない魅力、機能溢れるクルマをそろえている。そんな三菱がおよそ6年ぶりに刷新した軽自動車、まるで新型デリカD:5をスケールダウンしたような顔つきを持つ『eKクロス』もまた、ライバル不在の超個性派モデルと言っていい。

三菱 デリカD:5 新型(右)と eKクロス 新型(左)三菱 デリカD:5 新型(右)と eKクロス 新型(左)

eKシリーズは、三菱と日産の合弁会社NMKVが企画し、三菱自動車の水島工場で生産される軽自動車であり、日産版は『デイズ』と呼ばれる。先代は三菱が開発を担当したが、新型は軽自動車を初めていちから手がける日産が担当。そのおかげでデイズには高速道路同一車線自動運転機能のプロパイロットが、eKクロスにも同機能を持つMIパイロットが用意されている(標準車G、eKクロス)。デイズではハイウェイスターにしか付けられないから、eKシリーズの方が適応範囲が広いことになる。

3種類のパワーユニットを用意

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

ここで試乗したeKクロスは、デイズではハイウェイスターと同じ、上級グレードという位置付けながら、単なるエアロ/カスタムモデルではなく、三菱らしいSUVテイストをちりばめているところが大きな特徴だ。もちろん、4WDもラインアップされているが、最低地上高は155mmと、標準車と変わらない。

パッケージ面で新しいのはホイールベースを65mm延長し、後席ニースペースを70mm拡大したこと。結果、後席ニースペースは身長172cmのドライバーの背後で約340mm(170mm一体スライドする後席最後端位置)と、いきなりクラス最大になっている(同条件でダイハツ『ムーブ』290mm、スズキ『ワゴンR』320mm、ホンダ『N-WGN』 315mm)。

収納力も抜群だ。例えば助手席ドア内側に車検証ポケットを備え、車検証をグローブボックスから解放したことが収納力UPに直結。なかなかのアイデアだと思える。

新型eKシリーズのパワーユニットは3種類あり、NA、リチウムイオンバッテリーによるマイルドハイブリッド、そしてターボが用意される。

軽を忘れさせてくれる上級感

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

ここで試乗したのはNAエンジン+モーター=マイルドハイブリッドの4WDである。走りだせば、先代NAモデルのトルク不足、加速力不足はどこへやら。アクセルを踏み込んだ瞬間に、スッとトルキーに発進し、中間加速も十二分。街乗りにおいては加速力に不満が出ることはまずない、どころか、山道、高速走行さえしっかりとこなしてくれる実力の持ち主であり、軽自動車に乗っていることを忘れさせてくれるほどの上級感を味わせてくれるのだ。

高いボディー剛性がもたらす乗り心地は、デイズのFFと比べ、この4WDモデルはリヤサスが異なるため、やや固めのタッチを示し、路面によっては細かい上下動を誘発するものの、安っぽさなど皆無。静粛性も高く、クラスを超えた走行性能を持ち合わせる。が、FFと4WDの乗り心地はけっこう違うため、できれば両方を試乗してから購入するのが、ベターではある…。

操縦性も見事だ。カーブなどでステアリングを切り込めば、軽やかかつリニアに向きを変え、姿勢変化も最小限。安定感たっぷりに曲がってくれるのだからゴキゲンだ。

コンパクトカー真っ青の完成度

三菱 eKクロス 新型三菱 eKクロス 新型

新型eKクロスはそうした基本性能の高さはもちろんだが、MIパイロットによる、渋滞時にも追従走行が可能なACCが、高速走行、遠出を楽にしてくれること間違いなし。設定上限速度は115km/hと、物足りなく感じるかもしれないが、同条件のセレナなどと違い、ekクロスは軽自動車であり、それで十分とも言える。

ちなみにekクロスのボディー色には2トーンカラーが用意されているが、ボディーカラーによってホワイト、シルバーなどに塗り分けられているところもこだわりである。先進安全運転支援機能のひとつである前後踏み間違い衝突防止アシスト(歩行者検知)に、高度なブレーキ制御まで付いているのだから、運転初心者はもちろん、シニアドライバーにもうってつけだろう。これはもう、多くのコンパクトカー真っ青の、軽自動車の大革命、と言うしかない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータの蓄積は膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍も手がけ、また、愛犬とのカーライフに関するテレビ番組、ラジオ番組、イベントに出演。愛犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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