【メルセデスベンツ Bクラス 新型】これまでの強みにスポーティさが加わり完璧に…商品担当[インタビュー]

メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画2課の中山怜さん
メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画2課の中山怜さん全 17 枚

メルセデス・ベンツ日本は3代目『Bクラス』の予約注文を開始した。同社には昨年新型の『Aクラス』が導入されるなど、積極的にコンパクトモデルを展開している。そういった中で新型Bクラスをどのように訴求していくのか。商品担当に話を聞いた。

強みは広い室内空間と積載性、そこにスポーティなデザインで

----:3代目のBクラスを導入戦略をたてるにあたり、先代の振り返りを行ったと思います。そのあたりのことを教えてください。

メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画2課の中山怜さん(以下敬称略):はい、先代は広い室内空間、そしてたくさん荷物を積むことができること、そのうえで乗員は快適にどこかに出かけられる。そういう部分はすごく高く評価をしてもらっていました。

----:その点を踏まえ新型ではどのような導入の方向性を考えたのでしょう。

中山:その広い室内空間や、たくさんの荷物が積めるといったところは新型でも踏襲していますので、この強みは伸ばそうと考えました。一方デザインに関しては若干弱い部分がありました。特に先代Aクラスと比較すると、とてもスポーティで若々しい印象のAクラスに対し、Bクラスは新しいのですが、どちらかというと堅実なイメージで、質実剛健、現実的、実用性といったところが強く出ていました。メルセデスベンツ Bクラスメルセデスベンツ Bクラス

そこで新型ではスポーティで若々しいイメージが欲しいと思っていたところ、AMGラインが装着されたスポーティなデザインでの導入となりましたので、見た目も格好良くなり、中身はこれまで通り実用的。安全性も最新のメルセデス『Sクラス』並みになり、MBUXも装備されました。つまり、中も外も完璧なBクラスが導入できたのです。

あくまでもスポーティさをベースに

----:今スポーティという話が出ましたが、そうするとAクラスとの差別化が難しくなるような気もします。

中山:あくまでもキャラクターが違います。スポーティさで比べたらやはりAクラスの方がデザイン的にもスポーティです。一方たくさん荷物を積みたいということであればBクラスです。つまり用途や、重視するポイントを踏まえながらお客様が上手に選んでいただけると思います。

----:確かにそうかもしれません。しかし、ユーザーからするとそこまで大きな差がないようにも思うのですが。

中山:どちらも最新の安全性が装備され、MBUXが搭載されているということは変わりません。しかし、Aクラスの方がよりスポーティですし、Bクラスの方がより快適性が高いというキャラクター分けができていると思います。

お客様も実際に乗ってみて、スポーティなAクラスがお好みの方もいらっしゃれば、キャンプに行ったり釣りに行ったり、たくさんアクティビティを楽しみたいのでBクラスだという選び方もできます。メルセデスベンツ Bクラスメルセデスベンツ Bクラス

これまでであれば、すごくAクラスが好きな方であれば、Bクラスはちょっと物足りない、もっとスポーティな方が良いと思われたでしょうが、新型であればAクラスでもBクラスでもデザインはどちらも格好良いので、楽しく悩んで、デザインやライフスタイルで選ばれるようになります。そのように比較しながらメルセデスの中でAクラスかBクラスを選んでもらえるという状況になりましたので、そこは大きく進化したといえます。

カニバリよりも流入を重視

----:そういう意味ではAクラスとBクラスのデザインが近いというのは強みになってくるのでしょうか。

中山:そう思います。今までですとAクラスで何々が物足りないから別のブランドを見てみよう、あるいはBクラスはちょっと……、といったことがありましたが、この新型ではメルセデスの中でどちらかを選んでもらえるようになると想定しています。

----:そうする“カニバリ”が懸念されますが。

中山:はい、厳密にいうと全くカニバリはないとは思っていません。ただし、今までメルセデスに見向きもしなかったお客様達が新しく来てくれた時に、AクラスかBクラスのどちらか好きな方を選んでもらえるということの方が重要なのです。

また、これまでAクラスのスポーティ性は好きだが、もう少し居住性や積載性が欲しいという理由で他ブランドに流れていた方が、新型ではBクラスを選んでもらえるようになるでしょう。

使いやすさにも配慮

----:では日本市場に導入するにあたり、本社にリクエストしたことはありますか。

中山:今までの伸びしろ、もっとスポーティにしてほしいとか、実用性にプラスアルファが欲しいとはいいました。デザインがよりアグレッシブで最新のメルセデスのデザインをまとってほしい。タイヤの径も18インチをBクラスにもつけてほしいといったことです。結果的には早々に本社の方からそのような設定になるといってもらえました。メルセデスベンツ Bクラスメルセデスベンツ Bクラス

また細かいところでは例えばフットトランクオープナーといった機能を要望しました。Bクラスのサイズでこれだけ開口部が大きく開くことを踏まえると必要な装備です。これまでは小柄な女性であればテールゲートを閉めるのは大変でした。そういった方々にも快適に使ってもらいたいとの思いからです。ドイツでは平均身長も高いですから、そういったことは我々アジアの国々がいわないとわかってもらえないところなので、要望して設定されました。

ディーゼルの強み、3列シートは…

----:さて、新型Bクラスでは初めてクリーンディーゼルエンジンモデルがラインナップされました。これは競合車と比べてもかなりの強みになると思います。

中山:満を持して登場させました。「A200d」に搭載されているものと同じ「OM654q」というもので、とてもレスポンスもよくパワフルで、また静かです。本当にガソリンエンジンに乗っているのかと思うくらい静かでディーゼルと意識はさせません。ただ、トルクが太くパワーがあるのでそこでディーゼルとお気づきになるでしょう。

----:一方3列目のシートがないということは気になりますね。

中山:はい、そこは確かに一部からも声は頂いていますし、我々も実現できるのであれば3列も導入したいという思いはずっとあります。日本市場においては、こういった形のクルマの3列仕様は非常に需要があるということを本社にもリクエストをしていますし、叶えたいなと思っています。

ただし、3列目を頻繁に使っているお客様よりも、3列目を保険としてあった方がないよりもいいということで購入しているお客様も多いのです。そうした方々の中には普段は2列までで日常生活は済んでいる方も多くいらっしゃいますので、そこは2列で実際の日常生活で支障はないということを伝えていきたいと考えています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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