240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ 輸送コストは? 車内販売は?

240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験
240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験全 8 枚

ニッポンの新鮮な魚介類は、何時間もかけて現地へむかうことなく、東京でゲットする。そんな時代がやってきそうな気配。

岩手と新潟から、その日に水揚げされた海産物を新幹線でその日のうちに東京へ運ぶ実証実験がきょう6月11日から始まった。手がけたのは、JR東日本スタートアップ、JR東日本リテールネット、ジェイアール東日本物流、フーディソンの4社。

今回の海産物240km/h高速輸送実験では、新潟県佐渡市から東京へ運ぶときの流れはこうだ。まず朝、佐渡両津港に水揚げされた甘エビを佐渡汽船のジェットフォイルで新潟港に運ぶ。新潟港から新潟駅まではトラックで。そして新幹線に積み込まれ、最高速度240km/hで東京へ。東京から品川までは、電車を使わずトラックで運ぶ。

実証実験ということで、こうして運ばれた甘エビやウニは、都内の料亭や近郊のスーパーマーケットには並ばず、JR東日本グループエリア内のエキュート品川(品川駅駅ナカモール)で販売する。

車内販売準備室に載せられて

240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験その新潟→東京の流れを都内で追ってみた。佐渡ヶ島→新潟港→新潟とジェットフォイルとトラックで運ばれた甘エビは、上越新幹線とき320号の車内販売準備室に収まる。

14時44分。E7系 とき320号が東京駅に到着。その車内販売準備室に載せられた甘エビは、乗客が降りたあと物流スタッフが手で抱えて出てくる。ホームで待つカートに載せられて、改札外で待つトラックへと引き渡される。

発泡スチロールには、「新潟鉄送荷物 品名:甘海老 200g×15pc 個数:1個(株)フーディソン行 出し人:佐渡七海丸 6月11日」という張り紙。鉄送荷物というワードがあるぐらいだから、むかしから新幹線の貨客混載はあったのか。JR東日本によれば、「海産物を新幹線で運ぶというのは、少なくともJR東日本では初。東海や九州については不明」という。

そこで気になってくるのは、コスト。JR東日本グループやフーディソンの関係者に聞いても「実証実験の段階でまだ輸送の総コストがつかめてない」という答えしか返ってこなかった。ひとつだけヒントをつかんだ。

気になる価格は?

240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験今回、エキュート品川に並ぶ新幹線直送便の甘エビは、ひとパック200グラムで1600円。「だいたい、このひとパックを新潟港周辺で売る場合はいくらぐらい?」と聞くと、あるスタッフから「500~600円ぐらいじゃないか」と返ってきた。

仮にそうだとすると、ジェットフォイルとトラックと新幹線で運ばれてきた甘エビは、地元相場の3倍。輸送コストや人件費などは1000円前後が上にのってる感じか。それにしても、1000円を上乗せしてでもその日にとれた甘エビを「食べてみたい」と思う人は多いはず。冷凍ものとは違う、とれたての甘エビを、と。

もはや、「うまい海産物を食いたくなって、新幹線に飛び乗った」という武勇伝は古い話か。各地のうまいものが、その日のうちに東京にやってくる時代が、いよいよか。

車内販売に代わる切り札?

240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験240km/hの鮮魚列車、甘エビとウニを新幹線で運ぶ実証実験そんななか、もうひとつ気になるのが車内販売のゆくえ。「車内販売をどんどん減少させてるけど、その車内販売で使っていたスペースをこうした物流に置き換えようとしてる?」とJR東日本関係者に聞くと、複数の人から「それは違う」と返ってきた。

車内販売が減少し、「駅でビールや駅弁を買って列車に乗車して」とアナウンスしているJR東日本。ある関係者は、「車内販売の縮小化にあわせたアイデアではなく、あくまで実証実験。今後の需要や費用対効果をみながら、輸送ボリュームの拡大などを図っていければ」と話していた。

東北新幹線・上越新幹線で海産物をその日のうちに東京へ運ぶ実証実験は、6月11・13・14・18・20・21日に実施される。

《レスポンス編集部》

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