VWジャパン、SUV攻勢を強める…Tクロス は年内、Tロック は2020年導入

フォルクスワーゲングループジャパン 代表取締役社長のティル・シェア氏
フォルクスワーゲングループジャパン 代表取締役社長のティル・シェア氏全 5 枚

フォルクスワーゲングループジャパンは、就任3年目を迎えるティル・シェア社長の実績の振り返りとともに、今後の方向性について一部報道陣に説明が行われた。

3つのステップで戦略を実施

フォルクスワーゲン T-Rocフォルクスワーゲン T-Roc

2016年3月に就任したシェア氏は、Road to 2020という3つのステージからなる戦略を発表。その第1段階(2016~17年)は基盤強化とし、「お客様からの信頼を回復し、組織内部、外部を強化すること。そして反転攻勢への準備をする時期だった」とシェア氏。

具体的活動としてはイベント強化としてフォルクスワーゲンデイを東京お台場で開催。また、全国でTry!Try!Try!フォルクスワーゲンを実施し、「我々の商品をお客様に提示し、お客様に近い存在であろうとした。できるだけお客様の元に近づいていきたい、寄り添いたいという思いだった」とコメント。

フォルクスワーゲン T-Rocフォルクスワーゲン T-Roc

第2段階(2017~18年)は反転攻勢として多くの新車を導入すると同時に、タッチポイントを拡充。またブランドイメージの強化が行われた。新車導入の最大のポイントはディーゼルモデル、TDIだ。「2018年の導入開始後たった数カ月だが、既にフォルクスワーゲンの販売台数の10%を占めるまでになった」とシェア氏。また『ティグアン(同TDI)』『アルテオン』や『ポロ』といったクルマも導入された。そして、引き続きイベント強化としてPlayOn!フォルクスワーゲンサーカスが開催された。

そして第3段階(2019~20年)はさらなる躍進の年と位置付け、「ブランドの魅力度ナンバーワンになりたい。ブランドロイヤリティも向上させたい」とシェア氏。同時に、「顧客満足度ナンバーワンも達成したい」と目標を語り、「これは我々にとって最も重要な項目だ」と述べる。また、さらにディーゼルのラインナップを拡大するとともに、イベント強化として、Bus Kuss Festというキャンペーンを展開するほか、多くのタイアップやオンラインキャンペーンも実施する。

VW T-Cross(Tクロス)スクープ写真VW T-Cross(Tクロス)スクープ写真

シェア氏は、「フォルクスワーゲンは“ピープルズカーブランド”だ。ただし単なる大衆量販ブランドではなく、人々のためのクルマというブランドだ」と自社ブランドを位置付ける。だからこそ、「我々の商品が重要なのだ。様々なお客様のニーズに応え、最新の技術を提供していく。そしてそういった先進技術を民主化していることがポイントだ」と語った。

成功裏に終わった3年間

フォルクスワーゲングループジャパン代表取締役のティル・シェア氏(フォルクスワーゲンデイ2017にて)フォルクスワーゲングループジャパン代表取締役のティル・シェア氏(フォルクスワーゲンデイ2017にて)

さて、Road to 2020の結果は「成功だった」とシェア氏はいう。輸入車市場の販売マーケットシェアは2016年が16.1%だったものが2018年では16.8%までに回復。そのほかブランドイメージ、ディーラー満足度とも向上したからだ。

それらを踏まえ2019年は「『ゴルフ』と『ゴルフバリアント』、『シャラン』を含め、さらに多くのTDIモデルを発売する。また、SUV攻勢として年末までには『T Cross』も導入する予定だ」と明かす。

イベント関連では、ブランドイメージの強化に向け、無料でフォルクスワーゲンバス、『タイプ2』をレンタルするプロジェクト、Bus Kuss Festを強化。またデジタルコミュニケーションとしてLINEも始まった。さらにフィーチャーセールスモデルとしては、今後カスタマーIDを導入。車両販売だけではなく、これまでよりも遥かに多くのサポートを、それぞれのお客様のニーズに基づいて、24時間体制でシームレスに提供するという。

グローバルでも強化されるSUV

シェア氏は本国のフォルクスワーゲングループの戦略についても触れ、「クリーンモビリティへの道をたどる」と明言。これは、「パリ協定の影響と2050年に向けての変革の道だ」とし、「様々なプラットフォームが既にあるが、電動化にも目を向けて製品のポートフォリオを考えていく必要も同時にある」と説明。

CO2の排出量を2050年までにゼロにしていく必要があることから、フォルクスワーゲングループとして、またブランドとして、「新しいモデルを今後導入していく。そのひとつはBEV、バッテリー式の電気自動車を予定している」と話す。

そこでグローバル戦略としては、3つのポイントを挙げる。ひとつはコアビジネスの強化だ。ここには大規模なSUV攻勢も含まれると同時に生産性向上、コスト削減を実施。また製品ポートフォリオの刷新が行われる。またブランドポジショニングの強化も行われる。「これらは2015年から2020年までにかけて行う」と述べる。『T-Roc』やT-CrossなどはSUV攻勢の一環なのだ。

続いてe-Mobilityリーダーへの飛躍(2020~25年)だ。「これはe-Mobility攻勢ということでもあり、今後重点を置いていくもの」とシェア氏。また、このタイミングで「新しい販売形態の確立としてデジタルエコシステム、顧客とのダイレクトリレーションシップが行われる」。その後2025年以降には、「e-Mobilityのグローバルリーダーになっていたい」という目標を掲げる。そこで、MEBプラットフォームの開発が行われ、また、『ID.3』の事前予約キャンペーンも開始されている。

さらに2025年以降として、「大規模変革、新しいビジネスモデル、新しいモビリティソリューションを展開していきたい。自動運転も実現していきたい。そして2030年までには自動運転のグローバルリーダーを目指している」と今後の目標を述べる。

日本はTDIとSUV

本国の戦略を踏まえ日本においても「次世代モビリティにシフトしていく。まず本年から来年にかけて、SUV攻勢をかけていく」とし、ティグアンとティグアンTDIに加え、「T-Crossを年末までに、そしてゴルフサイズのSUV、T-Rocを来年導入予定だ」と明言。

2020年から2021年にかけて、コネクティビティと運転支援という観点では、「次世代新型『パサート』と新型ゴルフに次世代のインフォテインメントシステムを搭載。そして新世代のトラベルアシスタントも導入する。これは高度運転支援機能で、今後導入のクルマに搭載していく」という。

2020年以降、「e-Mobility攻勢をかけ、MEBモデルが日本で導入が開始される。ID.モデルの導入によって輸入車ブランドの中でe-Mobilityのリーダーになっていきたい」と今後の抱負を語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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