トヨタ スターレットにダイハツ デルタ、アジアの街角で活躍する昭和の足【藤井真治のフォーカス・オン】

インドネシア・バリ島で撮影したトヨタスターレット
インドネシア・バリ島で撮影したトヨタスターレット全 4 枚

日本では元号が変わり令和になったが、東南アジアではまだまだ「昭和の日本車」が現役でバリバリ活躍している。シリーズ第3段では、懐かしの4台を紹介する。

日産 バネット

マレーシア・クアラルンプールで見た日産バネットラルゴ 初期モデルマレーシア・クアラルンプールで見た日産バネットラルゴ 初期モデル
マレーシア、クアラルンプールの路地裏でみかけた日産の『バネット』初代モデル。ここまで使いこんでもらえればクルマも本望だろう。80年初頭に日産が現地でCKD生産していたモデル。東南アジアの道路にジャストフィットの貨客兼用車で「働くクルマ」としてユーザーの人気が高かった。

かつて日本でも2代目の日産バネットはマツダに『ボンゴ』としてOEM供給をしていたが、今は逆にマツダボンゴのOEM供給を日産が受けている。トヨタの『タウンエース&ライトエース』も混じって三つ巴の商用車販売競争が繰り広げられていた時代を思い出す瞬間。

ダイハツ デルタ

インドネシア・ジャカルタで撮影したダイハツデルタ 2代目インドネシア・ジャカルタで撮影したダイハツデルタ 2代目
商用車の生産から創業したダイハツは、70年代から90年代までこのタイプの2トンクラスのトラックを造っていた。写真はインドネシアで現地生産を行っていた2代目モデル。

日本では日野の『レンジャー』としてOEM供給をするほどの実力を持っていたが、インドネシアでは生産台数が少なく、トヨタからキャビンの供給を受けダイハツのエンジンを乗せるという離れ業をやっていた。ダイハツ製のエンジンはビジネス客には定評があったが、販売不振によって日本も海外も生産終了となってしまった。

開発に携わったエンジニアや工場関係者。現地生産に苦労した駐在員。ダイハツの先人たちやこのトラックに夢を託したビジネス客。いろいろな思いの詰まったダイハツ デルタは、いまでもしっかりとお金を稼いでいるようだ。

トヨタ スターレット

インドネシア・バリ島で撮影したトヨタスターレットインドネシア・バリ島で撮影したトヨタスターレット
先代のFRからFFに変更になった後の3代目トヨタ『スターレット』。海外ではインドネシアだけで生産されていた。

コンパクトなハッチバックボディによく回るエンジン。「若年層の男女、とくに学生に人気の高かったモデル。日本と同様、サーキットレースやジムカーナやダートトライアルなどモータースポーツ愛好家に人気のモデルであった。

写真はバリ島での一コマ。昭和のテレビコマーシャルによく使われたシーンである。

スズキ キャリイ

インドネシア・タンゲラン(モーターショー会場付近)したスズキキャリイインドネシア・タンゲラン(モーターショー会場付近)したスズキキャリイ
日本では軽自動車でありもっと小さなサイズなのだが、この顔は間違いなく昭和末期のスズキ『キャリイ』。東南アジアの市場では日本仕様は小さすぎるため、幅広モデルを開発しインドネシアなどで現地生産していた。一時はベストセラーにもなったモデル。

写真は、乗り合いバスに改造されたもので、庶民の足として現在もインドネシア全土で元気に走りまわっている。

<藤井真治 プロフィール>
(株)APスターコンサルティング代表。アジア戦略コンサルタント&アセアンビジネス・プロデューサー。自動車メーカーの広報部門、海外部門、ITSなど新規事業部門経験30年。内インドネシアや香港の現地法人トップとして海外の企業マネージメント経験12年。その経験と人脈を生かしインドネシアをはじめとするアセアン&アジアへの進出企業や事業拡大企業をご支援中。自動車の製造、販売、アフター、中古車関係から IT業界まで幅広いお客様のご相談に応える。『現地現物現実』を重視しクライアント様と一緒に汗をかくことがポリシー。

《藤井真治》

藤井真治

株式会社APスターコンサルティング CEO。35年間自動車メーカーでアジア地域の事業企画やマーケティング業務に従事。インドネシアや香港の現地法人トップの経験も活かし、2013年よりアジア進出企業や事業拡大を目指す日系企業の戦略コンサルティング活動を展開。守備範囲は自動車産業とモビリティの川上から川下まで全ての領域。著書に『アセアンにおける日系企業のダイナミズム』(共著)。現在インドネシアジャカルタ在住で、趣味はスキューバダイビングと山登り。仕事のスタイルは自動車メーカーのカルチャーである「現地現物現実」主義がベース。プライベートライフは 「シン・やんちゃジジイ」を標榜。

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