【ホンダF1】レッドブル優勝にトロロッソ3位、あの“セナ時代”1992年以来となるダブル表彰台&年間複数勝利を達成

フェルスタッペン(左)が優勝、クビアト(右)が3位。ドイツGPでホンダ勢ダブル表彰台が実現した。
フェルスタッペン(左)が優勝、クビアト(右)が3位。ドイツGPでホンダ勢ダブル表彰台が実現した。全 8 枚

F1第11戦ドイツGP(26~28日)でレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今季2勝目をあげ、トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトが3位に入った。ホンダにとっては1992年以来27年ぶりのダブル表彰台&年間複数勝利達成となっている。

ホッケンハイム戦の決勝レースは雨に翻弄される乱戦の様相を呈した。そんななか、2番グリッド発進のフェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)もスピンを喫するシーンこそあったが、全般的に見れば安定したレース運びでのトップチェッカーで、自身とチーム、ホンダにとって2戦ぶりの今季2勝目をあげた。

ホンダがシーズン2勝目をあげたのは、1992年以来で27年ぶり。1992年には当時のマクラーレン・ホンダがアイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーのコンビで5勝している。また、今回のレースではもうひとつのホンダ製パワーユニット(PU)搭載チーム、トロロッソのクビアトが3位に入っており、“ホンダ勢”としてダブル表彰台獲得という嬉しい結果になった。

ホンダ勢ダブル表彰台(決勝リザルト3位以内に複数台の状況)も、1992年第14戦ポルトガルGP(ベルガー2位、セナ3位)以来27年ぶりと見られる。また、異なるホンダユーザーチームが同時に表彰台に上がったのは、1988年最終戦オーストラリアGPで優勝アラン・プロスト、2位セナ(以上マクラーレン)、3位ネルソン・ピケ(ロータス)で表彰台を独占して以来になるようだ(記録はいずれも手元調べ)。

優勝した#33 フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。優勝した#33 フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。

現在のホンダのF1参戦は2015年に始まった第4期で、1992年は第2期の最終年。第2期はウイリアムズ・ホンダ、マクラーレン・ホンダと最強陣営を相次いで創出し、ハイピッチで勝利を量産、10年の参戦期間で69勝もしている。タイトル獲得に関してもコンストラクター部門では86~91年、ドライバー部門でも87~91年に頂点を極め続けた(92年は無冠)。

1964~68年の第1期が2勝、2000~08年の第3期が1勝。第4期は今年第9戦のオーストリアGPが初勝利で、06年以来13年ぶりの通算73勝目だった。今回のドイツGPでの勝利、通算74勝目はそれから2戦ぶりという短期で訪れている。ホンダがこれだけの短期間に再び勝つのも第2期以来のことだ。

今季2勝目をあげたフェルスタッペン。今季2勝目をあげたフェルスタッペン。

(注:ここでのホンダの通算勝利数はエンジン/PUとしての数字。シャシーも「ホンダ」での“オールホンダ”としての参戦は第1期、そして第3期の最後の3年にあり、2+1で通算3勝)

昨年からトロロッソにPU供給を開始し、その兄貴分ともいえる系列上位チームで、当代3強の一角と目されるレッドブルにもPU供給を始めた今季、ホンダは開幕戦で第4期通算5シーズン目にして初の表彰台を獲得(フェルスタッペンが3位)。そしてシーズン中盤、いよいよレッドブル・ホンダとしてのパッケージングが真価を発揮し始めたようだ。今後はメルセデス、フェラーリとの優勝争いが毎戦のように見られることが期待される。

3位に入った#26 クビアト(トロロッソ・ホンダ)。3位に入った#26 クビアト(トロロッソ・ホンダ)。

また、中団グループの接戦を戦うトロロッソにとって表彰台獲得は快挙ともいえる(チームにとっては11年ぶり)。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクター(TD)はレッドブルとの勝利を喜びチームに感謝するとともに、先に共闘を始めていたトロロッソの素晴らしい成果にも大きな祝意と感謝を表明している(下記は田辺TDのコメント抜粋)。

「レッドブルのフェルスタッペン選手が今季2勝目、トロロッソのクビアト選手が3位表彰台獲得と、素晴らしいレース結果になりました。難しいコンディションにより大荒れの展開となりましたが、両ドライバーの素晴らしいドライビングと両チームの素晴らしい仕事に感謝しています」

3位を喜ぶトロロッソ・ホンダ陣営。3位を喜ぶトロロッソ・ホンダ陣営。

「今回はトロロッソとも一緒にポディウムに登ることができました。昨年ゼロから一緒にプロジェクトをスタートしてきた歴史を思うと、ホンダにとっても本当に嬉しい表彰台になりました。トロロッソのメンバー全員に、心からおめでとうの言葉を贈ります。今日はこの特別な一日を、両チームと一緒に祝おうと思います。そして明日からはまた、来週末にやってくるハンガリーGPに向けた準備を進めます」

F1では日本人ドライバー不在期間が長くなっており(2014年の小林可夢偉が現状最後)、ホンダが2015年に復帰するも苦闘続きで“冬の時代”だった“ニッポンF1”。もちろん、セナの頃のような“ホンダ最強伝説”の復活にはまだ遠いが、ホンダと日本のF1、その未来が明るく開けつつあることは確か、そんなムード高まるホンダ勢ダブル表彰台&年間複数勝利達成のドイツGPだった。

1988年オーストラリアGPで優勝アラン・プロスト(向かって右)、2位セナ1988年オーストラリアGPで優勝アラン・プロスト(向かって右)、2位セナ

<ドイツGPのレース結果について>
レース後、7位と8位でゴールしたアルファロメオ・フェラーリの2台にタイム加算の罰則があり、K. ライコネンが12位、A. ジョビナッツィが13位にそれぞれ降格となった(スタート時のクラッチ~トルク制御に関連しての問題が原因)。これによって9~13番手ゴールだった選手たちが2つずつ順位を上げ、今回は無得点だと思われたポイントリーダーのL.ハミルトン=メルセデスが9位入賞で2ポイントを獲得、10位にはウイリアムズ・メルセデスのR.クビサが繰り上がって自身とチームにとっての今季初得点をあげる格好となっている。ただしアルファロメオ側に控訴の意思があるようなので、今後また結果が変動する可能性もある。

《遠藤俊幸》

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