ZFが注目する商用車の自動運転技術、その先にあるものとは?

e.GOムーバー社の自動運転EVシャトル
e.GOムーバー社の自動運転EVシャトル全 3 枚

様々な安全運転支援システムが次々と登場する一方で、なかなか製品化されないのがレベル3以上の本格的な自動運転技術。とりわけ、技術的に極めて高度なレベル4やレベル5については製品化を疑問視する向きさえあるほどだ。ここでZFは興味深いアプローチでレベル4ないしレベル5の開発に取り組む。まずは商用車でレベル4ないしレベル5の技術を習得し、それらを将来的に乗用車へと展開するというのだ。

商用車のなかには、走行区域を限定することですでにレベル5相当の自動運転を実現している例がある。たとえば、オランダの2getthere社は20年以上前にオランダやアブダビの限定された地区で完全電動無人システムを実用化。これまでの移動距離は延べ1億km以上、利用者数は1400万人に上るが、1度も事故を起こしたことがないという。彼らは、2019年にオランダのリビウムで世界初となる混合交通内の無人運転システムを実用化するほか、2021年にはベルギーのブリュッセル空港内でも混合交通内の無人運転システムを実用化する。

ZFは先ごろ2getthere社の株式の60%を取得したほか、ドイツ・アーヘンをベースに電動車の開発に取り組むe.GO社や商用車関連システム製品を手がけるWABCO社などにも投資。商用車を足がかりとした自動運転技術を習得しようとしている。

なぜ、ZFは商用車の自動運転技術に注目しているのか? 現時点における商用車の完全自動運転は専用レーンや閉鎖された地域での使用を前提にすることで技術的なハードルを低め、法的な問題をクリアしたもの。また、商用車ゆえに乗用車より多額なコストをかけられることも、自動運転の実用化を容易にしたといえる。とはいえ、そうした事例を通じて自動運転で必要となる実際的な技術やデータが蓄積できることも事実。そこで、こうした企業と連携を図ることでレベル4以上の自動運転に必要となる技術をいち早く手に入れ、将来的に乗用車メーカーが参入してきたときに素早く対応できる態勢を整えようとしているのだ。

ZFの自動運転車向け乗員認識システムのイメージZFの自動運転車向け乗員認識システムのイメージ

《大谷達也》

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