視覚障がい者でも駅構内をスムーズに移動…ナビゲーションシステムを東京メトロが公開[動画]

駅構内には、shikAIを紹介するポスターが貼られていた。
駅構内には、shikAIを紹介するポスターが貼られていた。全 15 枚

スマホアプリで床のQRコードを読む

東京メトロは視覚障がい者向け駅構内ナビゲーションシステム「shikAI(シカイ)」のメディア向け体験会を、8月30日、東京都内の有楽町線辰巳駅、および新木場駅で実施した。

この「shikAI」は、スマートフォンの専用アプリを起動し、足下にかざしながら移動することで、点状ブロックの上に貼られたQRコードを自動的に読み取り、進む方向や距離が利用者に音声で伝わり、目的地までスムーズに誘導するというトータルシステムの名称。開発メーカーのプログレス・テクノロジーズによると、このネーミングは日本語の「視界」と、本システムを成立させるために欠かせないAIを掛け合わせて命名されたとのこと。

視覚障がい者のスマートフォン利用が増えた

2016年12月から開発がスタートしている「shikAI」。その開発経緯は、視覚障がい者が駅を利用する際、点状ブロックと白杖だけでは行き先がわかりづらく、不慣れな駅では迷いやすく、移動に不安に感じているお客様が多いということ。そしてスマートフォンの音声読み上げ機能、文字の拡大・白黒反転機能、カメラ機能などを活かしたアプリの普及により、視覚障がい者のスマートフォン利用が多くなったという、2点が大きなポイントとなっている。

つまり、スマートフォンと音声案内を利用したナビゲーションシステムを構築することで、視覚障がい者の方でも安心して鉄道を利用できるのではないかという考えのもと、開発が進められている。

2017年には総合研修訓練センターの模擬駅で、ビーコンを使った実証実験が開始され、2018年にはビーコンをQRコードに替え、有楽町線辰巳駅で実証実験が26回行なわれている。そして今年に入ってからは、最終検証のため有楽町線新木場駅と辰巳駅で実際の利用を想定した実用性検証が行なわれている。実際のインターフェースはシンプル。ただし操作方法は、右にスワイプすると、カーソルが下に進み、左にスワイプすると上に進むという普通のスクロール方法とは少し違う。またダブルタップで決定、シングルタップで再読み上げ。実際のインターフェースはシンプル。ただし操作方法は、右にスワイプすると、カーソルが下に進み、左にスワイプすると上に進むという普通のスクロール方法とは少し違う。またダブルタップで決定、シングルタップで再読み上げ。

細かい情報が事前に提供される

今回のメディア向け体験会でも、視覚障がい者の高橋玲子氏と、松尾政輝氏に協力してもらい、実証実験も兼ねた形となっていた。今回の実験では改札の外側から、改札を抜け、階段を下って実際に電車に乗り込むまでと、電車から降り階段を上って改札を抜け出るまでの検証が行なわれた。アプリによるQRコードの読み取りや、動作には問題無く、被験者が道を間違えた場合も、きちんとリルート指示を読み上げ、正しい道筋を示していた。

実験終了後のインタビューでは、ふたりとも、目的の場所まで何メートルなのか、階段が何段あるのかといった、細かい情報が事前に提供されることが非常に安心でわかりやすいとのことだった。以前、点状ブロックだけを頼りに移動していた際に、階段に差し掛かり、上りだと思って移動したら下りだったため、転げ落ちてしまったこともあったとのこと。このようなトラブルも「shikAI」を利用できれば、怪我をせず安全に駅を利用できる。

2020年初頭にアプリの一般公開、導入駅の拡大

東京メトロ企画価値創造部主任・工藤愛未氏によると、この検証結果をふまえ、来年初頭にはアプリの一般公開や、導入駅の拡大を予定しているとのこと。また、新木場駅のようにJR東日本の駅も隣接している場合、どこまで誘導してくれるのかを確認したところ、JR新木場駅の改札までナビゲーションは対応しているとのことだった。また東日本旅客鉄道(JR)と連携はしないのかと問いかけたところ、もちろん連携できるのであれば、取り組みたいと考えているが、まだ東日本旅客鉄道側へのアプローチには至っていないということだった。

現状はアプリが一般公開されていないため、一般の方がナビゲーションを利用することはできないが、現状のQRコードリーダーではなにが表示されるのかを確認したところ、各駅の番号(辰巳駅の場合Y-023、新木場駅の場合Y-024)と、ブロックの位置を示す番号が表示された。

[実際の検証中の様子]

[shikAIインターフェース]

《関口敬文》

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