赤字額は札幌圏で拡大、それ以外は多くが縮小…JR北海道の2018年度線区別収支状況

2018年度で最も赤字額が少なかったのが石勝線夕張支線だった。写真は最終日前日に運行されたヘッドマーク付きの臨時列車。
2018年度で最も赤字額が少なかったのが石勝線夕張支線だった。写真は最終日前日に運行されたヘッドマーク付きの臨時列車。全 3 枚

JR北海道は9月4日、2018年度と2019年度第1四半期の線区別収支状況を明らかにした。

2018年度は、9月に発生した北海道胆振東部地震などで大きな影響を受けたとしながらも、営業収益から営業費用を引いた営業損益(いわゆる赤字)は、2017年度比で札幌圏以外の線区の多くが改善に転じたことで、鉄道運輸事業全体での赤字が縮小されている。

これは少雪で除雪費が減少したこと、減価償却費などが減少したことなどがおもな要因で、日高本線(苫小牧~鵡川)では通学定期券の利用が増加したこと、4月に廃止された石勝線夕張支線(新夕張~夕張)でお別れ乗車の利用者が増加したことなども挙げられている。

とくに日高本線では、2019年度から沿線のむかわ町が、苫小牧市内から鵡川高校へ向けたスクールバスの運行を取り止め、JRの定期乗車券に対して助成を行なっており、2019年度の第1四半期では営業収益が増加している。

札幌圏では設備修繕などが続いたことから赤字が拡大。写真は函館本線苗穂駅を発着する731系電車で、同駅は2018年11月に新駅に切り換えられているが、これに関連した不動産取得税を納付したことなどにより、2019年度第1四半期の札幌圏の営業費用が2億5500万円増加したという。札幌圏では設備修繕などが続いたことから赤字が拡大。写真は函館本線苗穂駅を発着する731系電車で、同駅は2018年11月に新駅に切り換えられているが、これに関連した不動産取得税を納付したことなどにより、2019年度第1四半期の札幌圏の営業費用が2億5500万円増加したという。

それと裏腹に、札幌圏では赤字額が増加しているが、これは千歳線や札沼線の高架橋修繕費が増加したことが要因に挙げられている。2019年度の第1四半期では営業収益は増加したものの、営業費用も増加したため赤字が続いている。

特急が運行されている函館本線函館~長万部間でも赤字になっており、こちらは、軌道の修繕やレール交換が集中的に重なり、営業費用の増加につながったとしている。

苫小牧駅で札幌行きの普通列車と並ぶ日高本線の鵡川行き普通列車(左)。同線ではむかわ町の協力でJR定期券の助成が行なわれており、赤字縮小の一助となった。苫小牧駅で札幌行きの普通列車と並ぶ日高本線の鵡川行き普通列車(左)。同線ではむかわ町の協力でJR定期券の助成が行なわれており、赤字縮小の一助となった。

赤字が改善した線区が増えたとはいえ、2018年度単体で見ると、JR北海道全線が赤字である状況に変わりはなく、管理費を除いた場合で札幌圏の4線区がトータルで黒字になるに過ぎない。

赤字額は、管理費を含む場合、最も大きいのは北海道新幹線(新青森~新函館北斗)の95億7300万円。最も少ないのは4月に廃止された石勝線新夕張~夕張間の1億9700万円。2019年4月以降も存続している在来線では、2020年5月7日に廃止される予定の札沼線北海道医療大学~新十津川間の2億8100万円が最も少ない。

これらの状況とともに、2019年度第1四半期の「JR北海道グループ経営改善に関する取り組み」と題した報告書も公表されているが、これによると、JR東日本の観光列車「びゅうコースター風っこ」を借り受け、7~9月に宗谷本線で運行されている『風っこそうや』は、7月28日から8月12日分の乗車効率が速報値で約63%に留まっているという。これは運行初日の7月27日が荒天のため運休になったことが大きい。

『風っこそうや』は9月8日が最終運行となるが、団体客の利用も多数あったことから、最終的な数字が期待されるところだ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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