【マツダ3 新型試乗】ファストバックという外観にはディーゼルの方が合っている…まるも亜希子

マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)
マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)全 16 枚

クローズドコースでの試乗しかできていなかった『マツダ3』に、ようやく一般道で試乗することが叶った。遠くから眺めても、やっぱりファストバックのデザインは美術品のような美しさが際立っている。

低速時の乗り心地は気になる

マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)搭載されるパワートレインは2.0リットルガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.0」に、6速AT。2WDのモデルとなる。

シートに座ると、骨盤が無意識のうちにスッと気持ちよく伸ばされるような姿勢がとれるのが、このマツダ3のこだわり。その分、同クラスのクルマよりも調整機能が10wayと細かく装備されているので、しっくりとくるポジションに合わせるまでには時間を要する。これを乗るたびにいちいちやっていたら面倒だが、「20S PROACTIVE Touring Selection」には2名分のシートメモリーが装備されていたから、家族で乗り換えて使うシーンでもスイッチひとつで運転ポジションが復帰できるのはありがたいところだ。

そしてもっちりとした座り心地を感じつつ、スタートボタンを押してみると控えめなアイドリング。駐車場内を10km/hに満たない速度で出口まで進む間は、ややノッキングのような振動と、ゴツゴツとした乗り心地の悪さが気になってしまった。タイヤは18インチのトーヨーだったが、これは低速だからなのだろうか。

なめらかなステアリングフィールに感心

マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)一般道へ出て走り出すと、まず感心したのはなめらかなステアリングフィール。軽すぎず、重すぎず、手にひらに吸い付くようにスッと回せて思い通りの挙動が得られる感覚は、とても心地いい。ライバル車と違うのは、交差点やカーブを曲がる時に頭と身体がピクリとも揺すられず、一定の姿勢を保てること。だからクルマが自分の手足の延長のような錯覚を覚えるようになる。

加速フィールは低速から余裕が感じられ、街中でストップ&ゴーが頻繁なところでも粗さがなく丁寧に走れる感覚。高速域に入ってからは伸びやかで扱いやすい走りが楽しめるが、高速道路本線への合流に向けて坂道を上るシーンや、追い越しをするシーンでは意図したよりも回転が上がるのが遅れる印象で、やや物足りなさを感じた。

ファミリーユースで選ぶ際には注意したい

マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)マツダ3新型 ファストバック(2.0 SKYACTIV-G)低速でゴツゴツとしていた乗り心地は、速度が上がるにつれて柔軟さも加わり、硬めではあるもの不快ではなくキビキビとした印象に。ただ後席に座ると頭まわりの圧迫感が強めで、足元スペースも大柄な人にはタイトだろうと感じる。乗り降りも頭をぶつけないように気を使うので、ファミリーユースで選ぶ際には注意したいポイントだ。また、狭い道での取り回しは悪くないが、後方視界がタイトでとくに後ろ斜め方向はほとんど見えないので、バックでの車庫入れなども気を使いそうだ。

さらに、クローズドコースではディーゼルエンジンを搭載したファストバックに試乗し、もっとヤンチャ系のスポーティさが魅力的だったのだが、今回はガソリンエンジン搭載だからなのか、終始穏やかで紳士な乗り味だったことに驚いた。個人的には、ファストバックという外観にはディーゼルの方が合っていると感じる。

参考までに燃費は、約90分の試乗で一般道4割・高速道路6割(エアコン25度オート設定)の総合で12.7km/リットルとなった。シングル世代や夫婦ふたり世代にとっては、走りも使い勝手もバランスよく、何よりデザインとインテリアのエレガントさ、上質感はライバルにはないマツダ3だけの魅力だろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー(2005-2012等)選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

《まるも亜希子》

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