【IFA 2019】世界最大級の家電見本市が開催---白物家電からモバイルまで1800社以上

ドイツ・ベルリンで開催された「IFA2019]の会場入口。今やシンボル的存在になっている
ドイツ・ベルリンで開催された「IFA2019]の会場入口。今やシンボル的存在になっている全 22 枚

世界各国より1800社以上が出展する世界最大級の家電見本市『IFA 2019』がドイツ・ベルリンで9月6日より開幕した。今年は新たに日本政府肝いりで準備された「ジャパン・パビリオン」が開設。スタートアップ企業をはじめとする多数が出展した。11日まで開催される。

アメリカのCESとは対極の出展が多かったドイツのIFA

ヨーロッパらしい風景が会場内にあるのもIFAならではの特徴ヨーロッパらしい風景が会場内にあるのもIFAならではの特徴

北米にはCESがあり、IFAはその欧州版とも言えるイベントだが、その内容は大きく異なる。CESは北米の総合家電ショーとして60年近くの歴史を持つ中で、1990年代頃からIT関連企業が出展するようになり、今ではその流れを汲むEVや自動運転にまつわる出展が目立つようになっている。自動車メーカーが数多く出展するのもCESならではの特徴だ。

それに対するIFAは白物家電が数多く、今もなお総合家電ショー的な雰囲気を保ち続けている。週末も特に日曜日になると、ほとんどの店が閉まっていることで手持ち無沙汰となった近所の家族連れが会場を訪れる。調理家電コーナーでは試食会もあちこちで行われることから、食事代わりで過ごす人も多いという。

一見、何の変哲もない建物だが、最新の家電が数多く出展されている一見、何の変哲もない建物だが、最新の家電が数多く出展されている

IFAの主催者としてはCESのように自動車関連の出展に期待を寄せている様子だ。ただ、悪いことにこの時期はIAA(フランクフルトショー)とも重なる。出展者側としては、IAAが2年に一度であるにしろ、重なっているときは負担が大きい。結局、自動車関連の出展は思うように集まらなかったというわけだ。

そんな中で今年はモビリティ系に振った展示になっていると聞き、IAA取材のついでに10年ぶりぐらいに会場を訪れることにした。

唯一、クルマらしい出展となったのが日本では未発表のマツダ「CX-30」。人気のSUVでコンパクトなサイズは現地でも人気を呼びそう唯一、クルマらしい出展となったのが日本では未発表のマツダ「CX-30」。人気のSUVでコンパクトなサイズは現地でも人気を呼びそう

3D高精度地図が出展したジャパンパビリオン、日本未発表のマツダ CX-30 も発見!

会場を訪れるとやはり大半が総合家電ショー的な色彩が強いのは変わらず。その中で自動車関連の出展はどこかと探し歩くと、見つけたのはマツダだった。現地ディーラーが出展したようで、そこで見つけたのは日本未発表の『CX-30』。『マツダ3』を含む主力車種を勢揃いさせてPRにつとめていた。来場者の関心はやはりCX-30。欧州では人気が高いマツダ車だけにCX-30には人が途絶えることがなかった。

「CX-30」のインテリアは欧州車にも引けを取らない質の高いものだった「CX-30」のインテリアは欧州車にも引けを取らない質の高いものだった

カーオーディオ関連は以前比べるとかなり減っていたが、その中で頑張っていたのがJVCケンウッド。大半がヘッドホン関連の出展の中、かなりスペースは小さくなってしまったが、この夏にEISA アワード年間最優秀賞を受賞したヘッドユニットを出展。ドラレコの出展も目立っていた。

そして、ジャパンパビリオン。会場入口には日本の地図メーカーや測量会社などが共同で立ち上げた高精度3Dマップの「ダイナミックマップ基盤」が出展。すでに新型スカイラインのプロパイロット2.0に採用されて一躍注目を浴びているところだ。今回の出展ではこの高精度地図を家電的な目線での利用を提案することを目的に出展したという。他に空飛ぶクルマを目指す企業などが出展。奥にはVR系企業や生活家電関連のスタートアップ企業が軒を連ねた。

ジャパンパビリオンの入口に置かれたディスプレイ。前に立った人をリアルタイムで点描化して表現するジャパンパビリオンの入口に置かれたディスプレイ。前に立った人をリアルタイムで点描化して表現する

会場のあちこちで開催されていたのが、セグウェイに代表される電動二輪車などの試乗会だ。特に目立つのが欧州ではすっかり生活の中で使われるようになった電動キックスクーター。セグウェイもその最新モデルを発表した。ただ、試乗で人気を呼んでいたのはミニカートのような乗り物で、こちらには並んで試乗待ちする人が見られた。他にEVスクーターの出展も目立ったが、残念ながらモビリティ系はこのぐらい。正直、事前に案内されていたのとはかなり差があった。この分野では期待外れだった。

わかりやすい家電見本市。身近な新製品が目白押し

ジャパンパビリオンはスタートアップ企業が集まった会場の一角に設営されたジャパンパビリオンはスタートアップ企業が集まった会場の一角に設営された

ただ、家電ショーとしてのわかりやすさではCESを上回る。先端製品といえばせいぜいスマートフォンが数多く出展したぐらいで、それ以外は生活に密着した製品の出展が大半だったからだ。会場に入るとすぐにあちこちからは試食コーナーの匂いが漂ってくる。

その中で、勢いが感じられたのが日本と韓国のメーカーだ。日本からはパナソニックやソニー、シャープなどが出展。韓国からはサムスンとLG。各社ともフロアすべてを使い切るほど巨大なスペースで展開し、中でも圧巻だったのがサムスン。会場入口付近にある建屋を単一メーカーで使い切っていたのだ。その中心は折りたたみ式のスマフォだというが、今回は時間がなく外から見るだけになってしまった。

ジャパンパビリオンの入口に出展した、3D高精度マップを提供するダイナミックマップ基盤ジャパンパビリオンの入口に出展した、3D高精度マップを提供するダイナミックマップ基盤

ドイツ勢ではボッシュの出展が目立った。日本では世界最大の自動車サプライヤーとして知られるが、このショーで展開していたのは冷蔵庫や掃除機などを手がける家電メーカーとしてのボッシュだ。IAAとの兼ね合いもあると思うが、このショーで自動車の匂いは少しも感じられなかった。また、Tモバイルはドイツの通信会社。会場に足を踏み入れるとピンク一色! 同社はスペイン・バルセロナのMWCに出展する際も同様のイメージ戦略。来場者の足を止めさせるのには十分な話題性だった。

《会田肇》

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