ZFは9月10日、ドイツで開幕したフランクフルトモーターショー2019(Frankfurt Motor Show)において、通信する機能を備えたホイールのプロトタイプを初公開した。
通信する機能を備えたホイールは、ZFとマキシオン・ホイールが共同開発しているもので、「スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューション」と命名された。世界初となるホイールにセンサーを組み込んだシステムを、共同開発する。
タイヤの空気圧やホイール荷重などの情報を収集・分析
スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューションは、空気圧やタイヤ温度、ホイール荷重など、タイヤとホイールに関する主要な情報を収集・分析してドライバー、フリート事業者、モビリティ事業者、インフラ管理組織に送信する。バス、トラック、農業用機器などの車両で使用可能なこのソリューションは、コストを削減しながら、交通安全と車両運用効率の向上に貢献する。
ZFが開発中の通信するホイール「スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューション」スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューションは、マキシオン・ホイールの「MaxSmart」ホイールセンサー技術と、ZFの統合TAGセンサープラットフォームを組み合わせている。各ホイールのリムに直接取り付けたBluetoothタグが、湿度、タイヤ温度、空気圧、車両の荷重やホイールポジション、速度および振動を9つの軸でモニターする。
集めた情報は車載テレマ経由でZFクラウドへ送信
ZFが開発中の通信するホイール「スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューション」リアルタイムで収集された情報は、車載テレマティクスユニットから、ZFクラウドへ送信される。データは、顧客の要望に応じて、パソコンやスマートデバイス、サードパーティーのシステムで、分析や確認ができる。複数のデータセンサーをひとつのTAGに統合することによって、ZFとマキシオン・ホイールは、より使いやすく簡単に必要な情報すべてを、モニターすることを可能にしたという。
農業用機器を含むほとんど全ての商用車に装着可能
農業用機器を含むほとんど全ての商用車に装着可能なこのシステムは、安全性の向上とコストの低減に貢献する。とくにフリート事業者や、自動運転システムを導入するモビリティサービス業者には、大きなメリットをもたらすという。
ZFは、BLE(Bluetooth Low Energy) のようなワイヤレス通信において、長年にわたる経験を持つ。今後はそのノウハウを活かし、世界初となるバッテリー駆動の完全統合型ホイールTAGセンサーをマキシオン・ホイールと共同開発する。このセンサーを使ったソリューションは、単にタイヤ空気圧をモニターするだけでなく、タイヤ寿命の延長や最適なタイヤ性能の発揮を可能にする重要な機能を実現する。これは、安全性や乗車時の快適性、コスト効率の向上に向けて、新たなステップになるという。
ホイールに装着された荷重センサーによって、スマート・ホイール・コネクティビティ・ソリューション経由で得られるタイヤとホイールに関する情報は、安全性や効率の向上に関するさまざまな用途に活用できるとともに、新しいビジネスモデルの構築も可能にする。
マキシオン・ホイールはZFとのパートナーシップによって、ホイールに関する知見とZFのインテリジェントなセンサーやテレマティックスに関するノウハウを融合することを目指す。そして、危険やコスト増につながるタイヤやホイールの故障を事前に防いだり、ドライバーやフリート事業者の業務効率向上に役立つ重要な車両データを提供したりする統合ソリューションを提供していく。
なおZFは、2020年上半期には初期開発を終了し、その後、公道での実証実験を行う計画、としている。