【懐かしのカーカタログ】大衆車の代名詞、初代トヨタ カローラ は意外にも「スポーティ」推しだった。

トヨタ カローラ(初代 1966年)
トヨタ カローラ(初代 1966年)全 9 枚

初代『カローラ』の登場は1966年11月のこと。実は同年4月に日産(ダットサン)から初代『サニー』が1000ccエンジンで登場しており、“プラス100ccの余裕”のコピーでカローラは登場。闘争心に火を付けられたかのように『サニー』は、1970年に2代目にフルモデルチェンジする際、1200ccにエンジン排気量をアップさせた。

この時のCMの有名なフレーズが「となりのクルマが小さく見えま~す!」。ちなみに『カローラ』も1969年9月のマイナーチェンジを機に1200ccにエンジンを載せ替えている。

新時代のファミリーカーだった「カローラ」

トヨタ カローラ(初代 1966年)トヨタ カローラ(初代 1966年)
初代に話を戻せば、今、改めて初代のカタログを眺めて「おや?」と思わせられるのは、当初は2ドアのみだったという点。4ドアが追加されたのはデビュー翌年('67年5月)のことだったが、2ドアで登場した『カローラ』は、ファミリーカーであるのは当然だが、まったく新しい日本のハイコンパクトカーを謳い、意外にも“スポーティ”が打ち出しだった。

カタログにも、「最高時速140km」「スタートして400mを走るにに、何と19.7秒しかかかりません」「国際水準を破り、1300cc急を上回る、1500ccクラスの性能です」「前後輪50対50というバランスのよさ」といった誇らしげな文面が並ぶ。

トヨタ カローラ(初代 1966年)トヨタ カローラ(初代 1966年)
メカニズムでも、国産乗用車初の4速フロアシフトや、マクファーソンストラット式前輪独立懸架などもポイントで、わざわざ見開きで透視図まで載せている。板バネのリヤサスペンションのところの説明には「リーフスプリングの1ばん上に、逆ぞりの吸振リーフ」が付いているとあり、これが振動を抑え、コモリ音を吸収し、ワインドアップを防ぐ、とある。

別のページではボディとタイヤにランプを付けて凹凸路を走行したものを長時間露光で撮影、タイヤは波状の軌跡を残すもボディは水平で動かないことを示した写真も。このカットや、零下50度の実験室での耐寒テスト、凹凸路走破等、開発時の光景を写真で載せるのは、この時代のカタログではよく見かけたもので、今見ると懐かしいが、いかに耐久性の高いクルマが出来上がったか……を伝えているという訳だ。

トヨタ カローラ(初代 1966年)トヨタ カローラ(初代 1966年)
トヨタ カローラ(初代 1966年)トヨタ カローラ(初代 1966年)
トリップメーター付きの丸型メーターの採用や、上下対称の両ざし式のキーなど、先取り精神に溢れた装備、機能も豊富に与えられた。ボディ色は9色の設定、内装色はオフブラック、グレーのほか、ブルー、レッド、クリーム、ブラウンと驚くほど豊富に設定されていた。

その後“大衆車”の代名詞として『カローラ』が成長していったのはご存知のとおり。けれど『パブリカ』と『コロナ』の間を埋める車種として誕生した『カローラ』は、単に身近、手頃なクルマだっただけでなく、多くの人の夢を乗せて走る新時代のファミリーカー……という意味においての大衆車だった。

トヨタ 初代カローラトヨタ 初代カローラ

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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