相乗りNearMeが空港送迎に注力するわけ…NearMe CEO 高原幸一郎氏[インタビュー]

相乗りNearMeが空港送迎に注力するわけ…NearMe CEO 高原幸一郎氏[インタビュー]
相乗りNearMeが空港送迎に注力するわけ…NearMe CEO 高原幸一郎氏[インタビュー]全 3 枚

MaaSを移動×シェアリングエコノミーと捉え、「タクシーの相乗り」マッチングアプリを展開するNearMe(ニアミー)が、新たに空港送迎に挑んでいる。そのわけについてNearMe CEOの高原幸一郎氏に聞いた。

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移動でだけではない。“地域軸”で瞬間マッチングする仕組みを作りたい

---:NearMe(ニアミー)の考え方を教えてください

相乗りNearMeが空港送迎に注力するわけ…NearMe CEO 高原幸一郎氏[インタビュー]相乗りNearMeが空港送迎に注力するわけ…NearMe CEO 高原幸一郎氏[インタビュー]

高原氏:現職に就くまでは、楽天で海外事業に携わっていました。アメリカに駐在しながら電子書籍系のフランスの会社の社長も務め、半分アメリカ、半分フランス、時々アジアのような生活を送りました。世界各地を訪れる際に現地体験をするのが好きなのですが、なかなか難しいということが原体験になりました。“地域軸”で現地体験を促す仕組みが作れないかと考え“瞬間マッチングプラットフォーム”NearMeを2017年に設立しました。

メンバーはスペイン人のデザイナーやベトナムに開発者がいるなど社内言語は英語で国際色豊かで、世界展開も視野にいれています。地域は日本のみならず、ベトナム・ハノイなど海外でもよいと考えています。またサービス開発は機械学習の専門家であるCTOの細田謙二が行っています。

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---:モビリティサービスは日本国内のみの展開でとどまる会社が多いですが、はじめから海外を視野に入れて展開している会社は少なく珍しいのではないでしょうか。

高原氏:NearMeはタクシーの相乗りマッチングアプリとしてのイメージが強いですが、タクシーなどの移動にこだわらず、行政情報、観光情報、イベントなど、あらゆるものと瞬間的にマッチングさせたいと考えています。

---:なるほど。移動だけではないんですね。

移動に着目した理由は、普段の生活の中でも問題がたくさんあるように、一番インパクトがあると考えたからです。特にドアツードアの問題に取組んでいます。

東京においては特に雨の日などタクシー待ちで長蛇の列ができていて需給バランスが崩れたり、突発的な災害や事故、免許返納者の移動手段、観光地の二次交通など、問題が顕在化しているからです。

自家用車ではなくタクシー活用

高原氏:そこで目を付けたのがタクシーでした。自家用車ではなく日本においては全国24万台あるタクシーの活用が重要だと思っています。タクシー業界はドライバー不足に頭を抱えています。しかしタクシーの半分は空車で走っていて、1人で利用している人も多く、あと3人乗せるだけでも単純に6倍輸送量が伸びるわけです。このようにまだまだタクシーには伸びしろがあるわけです。

---:まずは日本ではタクシー活用を活性化させる必要がある点に賛同します。タクシー業界ではあまり認識がないようですが、成長産業だと感じています。

高原氏:NearMeの相乗りサービスは米国型のウーバーモデルとまったく異なります。タクシーは1契約の原則があるため、乗合が禁止されています。そこでタクシーに乗る前に、“利用者同士”をマッチングさせています。

アプリの操作は簡単で、行先を入力して目的地と自動的に近い人とマッチングさせます。自動的に算出された料金とルートが出てきますので、アプリ内で一緒に乗る相手とメッセージで会話をして合流をします。アプリ内で決済をするので現金のやり取りはありません。
マッチングの手数料をNearMeがとりますが、利用者は1人で乗るよりも20~30%お得に乗れるような料金になっています。リピート率は50%と高評価です。

今はタクシーの乗車前にマッチングした人同士が乗り合わせているのですが、今後は後からマッチングした人も途中から合流できるようにするといったことも、チャレンジしたいと思っています。

タクシー会社と連携

高原氏:2019年8月からタクシー配車アプリJapanTaxiとも連携をはじめました。また、オープンイノベーションに力を入れている新潟県の長岡市とも実証実験を行っています。アプリでマッチングさせてタクシー会社へ送客するので、タクシー利用を増やすための相乗りという理解で、地域のタクシー協会と連携をしています。NearMeのサービスはタクシー会社には特に新しいシステムを購入する必要はありません。体力のない会社でもお金をかけずに需要喚起できることが魅力ではないでしょうか。

ステップを踏んで、最終的には地方の移動の課題を解決したい

---:9人乗りの空港シャトルをはじめた理由は?

高原氏:タクシーの相乗りを広めるために、独自のAIを使ったドアto空港の「スマートシャトル」(空港シャトル)に注力して事業拡大をしています。スマートシャトルに注力することにより、東急不動産や京浜急行などの企業とも連携が可能となりました。

既存の空港シャトルの多くは主要な駅やホテルから空港までの送迎です。スマートシャトルは、自宅から空港までの送迎もマッチングできるので、空車で走る状況を減らすことができます。NearMe(ニアミー)の独自のアルゴリズムを使えば、往復で効率化できるので、例えば1.5倍の乗車売上を上げるということも可能になると考えています。

利用者やホテルにとってもお得なことがあります。カバーしているエリア在住者は空港までリーズナブルな価格で移動できまし、NearMeがフライト番号から逆算して最適な送迎時間を算出するので、不安や煩わしさはありません。領収書も発行できます。インバウンドや多言対応もできているので、ホテルがチェックイン時に宿泊者にNearMeを案内してくれているところもあります。

2019年は台風で成田空港が陸の孤島化しました。このような有事の時にも対応できるようにするためにも、平時から相乗りサービスが使える状況にあることが重要だと考えています。

スマートシャトルは空港送迎のみならずいろいろな使い方も可能です。ホテルを起点とした観光地の周遊やゴルフ場の価値向上にも使えないかという声もあります。

このようにまず首都圏で仕組みをはじめています。空港送迎を都内から地方へ。空港の送迎から観光地の二次交通へ。そして地方の免許返納の問題へ。このようにステップを踏んで進めていきたいと考えています。

相乗りの車両開発へフィードバックも可能

---:MaaS向けの車両開発に必要なデータが集まっている

高原氏:NearMe(ニアミー)はサービス実装しています。車両をグレードアップさせるなど、適材適所に車両を選びながらサービスの質を向上させたいと考えています。このようにどんな車両を作ったらいいか、車両のIoT化など、サービスから車両へフィードバックができます。

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《楠田悦子》

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