【トヨタ ヤリス 新型】プロトタイプに最速試乗!デザインの攻め具合と「軽さ」を実感

トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)
トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)全 28 枚

『ヴィッツ』改め『ヤリス』。2020年2月中旬発売予定の同車プロトタイプでサーキットを走る機会が用意されたので、今回はその報告をしておきたい。

試乗車は1.5リットルのハイブリッドのFF(タイヤサイズは14インチと15インチ)とE-Four(4WD)、1.5リットル・ガソリン車のDirect Shift-CVT と6速MTの計5台。従来型にもあった1リットルと、2020年4月発売予定というガソリン車の4WD(1.5リットル)の試乗車は用意されていなかった。

現行スープラとの血の繋がりを感じさせるデザイン

ところで冒頭でも触れたとおり、今回の試乗車はプロトタイプとの案内だった。試乗車によってはスクープ写真でもおなじみの(!?)カモフラージュのラッピングが施されていたことでもそれはわかった。が、実車は外観、内装ともに見た限り量産車レベルの仕上がりぶりで、今回は試乗メインながらインテリアも「最終仕上げ前なので室内の撮影はご遠慮ください」といった案内もナシ。となると、試乗車により施された外観のカモフラージュも“プロトタイプを装うためのカモフラージュ”だったのでは?とさえ思えた。こんなことからも新しい『ヤリス』の開発は、まあノンビリとということはないにせよ、ジックリと腰を据えて進められてきたのかもしれない。あくまでも想像の域だけれど…。

もちろん会場にはスッピンのクルマもあり、改めて屋外で実車を見て、このクルマのデザインの“攻め具合”は実感。コンパクト系でいうと欧州市場向けの『アイゴ』もなかなか攻めたスタイルだが、新型となる『ヤリス』は、またその1歩半先を行っている…そんな印象だし、競合となる欧州(とくにラテン系)のコンパクトカーと較べても存在感はまったくヒケをとらない。どこの抑揚に満ちたボディパネル、印象的な各部ディテールは(個人的な連想だが)現行『スープラ』との血の繋がりを感じさせるほど。とはいえ、非常にアグレッシブではあるが、ボディ色や仕様で表情がずいぶんと変わりそうで、ピラーからルーフをブラックにしたスポーティなクルマや、カジュアル、ポップ方向のカラフルな仕様、または大人のユーザーにもスマートに乗りこなせそうなエレガントなボディ色もある。新色やオプションを含め、全12色のボディカラーはバラエティに富んだバリエーションを展開している。

トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)

インテリアについては、実は今回の試乗では決められた時間、順番、ラップ数でサーキットを慌ただしくいつもよりたくさん回って(!)いたため、腰を据えた検証ができなかったことをお断りしておきたい。いずれ発売に併せて別途、試乗会が開催されるはずだから、その際にはジックリと確認したい。ただしレーシングドライバーよろしく、ピットで“次の試乗車”にサッと乗り込み(モタモタして他のレポーターに迷惑をかけないように)発進することを最大優先事項に掲げ試乗を繰り返していたものの、その限りではドライビングポジション、ステアリングのリーチ、ペダル類の配置にはまったく不満を覚えなかった。視界にも不満はなく、狭い路地を試した訳ではないが、車両感覚もコンパクトなボディどおりの掴みやすさ…そんな印象をもった。

トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)

軽快でいかにも効率のよさそうな走り

前段でエクスキューズを書いたとおり、目まぐるしく続けざまに5台の試乗車のステアリングを短時間で次々と握り、周回数と同じくらい目を回しながらの試乗となっため、今回の走りのレポートは非常にザックリとしたものであることはどうかご容赦いただきたい。

トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)

そんな中でもわかったことは、総じて、軽快でいかにも効率のよさそうな走りが実現されている…ということ。とくにハイブリッドの走り出しの力強さやスムースでもどかしさのない加速は、これまでのHVからの進化の度合いを実感するところ。一方で1.5リットルのガソリンエンジン+6速MTの組み合わせは、エンジンの伸びの良さと素直なハンドリング、挙動のおかげで非常に気持ちよく走らせることができ、そもそものこのクルマの素性のよさがわかる仕様に思えた。

乗り味、NVHなどは一般公道を走らせてみないことにはわからないが、サーキットの路面の上では、ボディは剛性感よりも軽さがまず感じられた…とだけ報告しておきたい。

トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)

「さりげなく」乗員に優しい機能も搭載

ほかにコース外でデモンストレーションがありインタビューできたことの中で僕が注目したのは、「ターンチルトシート」と呼ぶ、乗降時に運転席/助手席が回転しながら座面前端の高さを下げる機構が与えられたシートだ。スカートや和服の女性を始め、足腰、筋力が弱い人に、この機能は大助かりだからだ。この仕様のいいところは、いかにもな○○シートといった風ではなく操作レバーも1つでルックスもさり気なく、日常で普通に使いながら恩恵に預かれ、身体にダメージのある乗員の負担軽減になる点だ。右股関節(骨盤)骨折あがりの僕が実際に座って試したのだから、アテになる報告と思っていただいていい。

トヨタ ヤリス 新型 ターンチルトシート(プロトタイプ)トヨタ ヤリス 新型 ターンチルトシート(プロトタイプ)

もうひとつ、高度駐車支援システムの「Advanced Park」も、ハンドル操作に加え、アクセルとブレーキ操作も行なってくれ、登録しておけば、白線のない自宅の駐車スペースなどでも作動可能なのがいい。実際に試したが、自分の感覚に合うようスピードも選べるようになっており、折々の“所作”の自然さ、操作に対する安心感を理由に、今まで試したこの種のシステムの中では、初めて自分で使ってもいいかも…と思わせられた。

トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)トヨタ ヤリス 新型(プロトタイプ)

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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